「鉄人28号のようにコントローラーで巨大ロボを操縦してみたくはありませんか?」
できます!このゲームならね!
今回のレトロゲームはそんな少年の夢を叶えてくれる巨大ロボアクションの革命児!
あの革新的巨大ロボの進化系にして後の人気シリーズの要素の基盤ともなった意欲作。
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・ギガンティックドライブ
ジャンル3Dアドベンチャーアクション プレイ人数1~2人・エニックス
・(株)サンドロット
・2002年8月29日
・PlayStation2(プレイステーション2)
・無
開発元の「(株)サンドロット」はあの人気シリーズ「地球防衛軍」でお馴染みです。
また上記の通りその後2004年に「鉄人28号」を発売しちゃってます。
やはり開発スタッフが実現したかった、プレイしたかったゲームだったのでしょう。
その証拠にサンドロットのスタッフが独立する前に「ヒューマン」という会社で「リモートコントロールダンディ」という原点となるゲームが発売されている。
ちなみにPS2版でも続編の「リモートコントロールダンディSF」がでているが開発スタッフがサンドロットに独立した後の作品のため正統な後継作品ではない。
・現代で巨大ロボットを動かすことを想定し物理的なリアリティを追求した作品。
・街は破壊可能で特定の建物はアドベンチャーパートで物語の展開に影響する。
・ガンダムのように俊敏な操作はできないがロボットラジコンを巨大化して街で大暴れできるという仮想体験ができる。
・一般のロボットゲームにはない地響きや関節のきしみなど圧倒的なG(重力)を感じることができる。
・巨大ロボットに近づき見上げれば圧倒的な巨大ロボットの存在感に興奮!
ストーリー
1969年 人類初の有人月面探査。人類は月へと降り立つ。
だが、月からの帰路、探査隊が謎の死を遂げる。
1975年 人類初の有人宇宙ステーション建設。
1976年 ステーションの全乗務員……死亡。
1980年 ネクタル放射線、発見。
ネクタル放射線は、宇宙を漂う、有害な放射線である。
あらゆる生命体はネクタル放射線を浴びると、例外なく死に至る。
宇宙を彷徨い、あらゆる金属を貫通し、生命を死に至らしめる恐怖の放射線。
ネクタル放射線がある限り、生物の宇宙進出は不可能であった。
有機生命体は、大気によって守られた惑星上でのみ生存が可能なのだ。
ネクタル放射線によって閉ざされた宇宙。
人類は、それをネクタルの障壁と呼んだ。
1981年 宇宙開発計画の無期延期が決定。
人類は宇宙に進出することはない。
異星生命体が、宇宙から地球へとやってくることはない。
人類は孤独な存在である。しかし……悲鳴。轟音。振動。戦慄。
この地獄の先に未来は、あるのか。
「月岡さん、月岡さん、聞こえていますか?すぐに来てください。三千年委員会があなたを必要としています」
月岡結衣は突然の駅のアナウンスに戦慄が走った。
「ついに委員会が動く…?」心の動揺をひた隠す。
クラスメートの奈々穂は、あまりの奇妙さに首をかしげている。
2人が立つプラットフォームから見渡せる千丈市の街。
その上空がみるみる暗雲に覆われるとともに強烈な雷鳴が轟き突如空中から巨大な怪物が地響きを立てて落下した。
「あれ……なんなの…?」何も知らない奈々穂の前で結衣はイタリアの悲劇が目の前で起こりはじめていることを認めたくなかった。
人々が狂ったように逃げはじめた。
奈々穂の祖母を救うため街を駆ける2人に現実が迫る。
爆音。突風。うめき声。奈々穂の祖母の家が2人の目の前で爆破されたとき、結衣はひとりの初老の男に気づいた。三千年委員会の元委員長、蓬莱博士。
彼の論文から広がった世界各国の軍事力増強の動きに日本政府が出した結論、「三千年委員会」は結衣の親が経営する日本軍需産業の雄「ツキオカ・インダストリー」に引き継がれていたのだ。
博士は結衣にコントロールを渡して言い放った。
「君にはやるべきことがあるはずだ。三千年委員会は何のためにある?機人の存在は何のためだ?行け!委員会!!」
結衣は肉親を襲った不幸に茫然とする奈々穂の手を引き、駆け出した。
世界がどんなふうに代わっていくのかわからないまま……
・三千年委員会:蓬莱博士の提唱する、惑星資源開拓を名目としたプロジェクト運営母体。日本政府が積極的に推進したが、7年の研究開発の後、凍結。
・ツキオカ・インダストリー:日本軍需産業の最大手(当時)。凍結した三千年委員会の設備と研究成果を私的に買い上げ、組織名を「文明保全財団」と改名。
ギガンティックドライブ説明書より
人類の敵は宇宙人かそれとも人間の醜い野望か
三千年委員会の陰謀・謎をあばき、「ヴァルガーラ」の脅威から地球を街を守る。
人類の敵ヴァルガーラ
人の形をした獣。全身レプトン・カーボナイト合金の塊であり、瞬間的な空間移動を伴った比類なき攻撃力と破壊力で人類を圧倒する。
ストーリーモード
ストーリーは50話以上のボリュームで人の形をした獣「ヴァルガーラ」の脅威から人類を守るために、機人を操縦して戦います。
操縦訓練
プレイヤーである人の操作や機人の操作のチュートリアルを受けることができる。
ミッションチャレンジ
ストーリーモードでクリアした面を再チャレンジすることができる。
対戦モード
1P、2P対戦できるモード。ストーリーモードでクリアの進捗状況によって人類の敵ヴァルガールも使用して対戦することができる。
デザインから一新されたPS2ならではの表現に挑戦した意欲作
本作のキャラクターデザインはあの「機動戦士ガンダム0083」、「機動戦士ガンダム第08MS小隊」「カウボーイビバップ」や「血界戦線」などの渋くアダルティな世界観を得意とする「川元利浩」がキャラクターデザインを担当。
主人公(プレイヤー)として操作キャラクターは「月岡直人」、「月岡結衣」、「月岡涼」の3人が選択可能。
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プレイヤーが操る機人は「ヴァヴェル」、「ライオール」、「グラング」の3体。
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ヴァヴェルはバランス型で圧倒的な破壊力があるが、ライオールは飛行機、グラングは車に変形が可能。
変形ギミック表現が表現できるのもPS2ハードのパワーがあってこその実現ポイントであり、注目ポイント。
戦闘パートの実況や指示、会話パートはフルボイスという豪華な仕様です。
登場するロボットは「機人」と呼ばれており、機人を遠隔操作を行い敵と戦います。
本作はただ主人公自身がどこか安全な場所で機人を操作するのではなく、機人を操るのに最適な位置取りを行い操作する。
そのためカメラワークは基本的に主人公目線のため下から見上げるようなカメラワークだったり、ビルの屋上からの機人目線で位置取りをしたりなどして機人やヴァルガーラを追って戦況の確認を行う。
当然戦場に機人と共に出るためより良いカメラワーク、運動会の両親さながらの席取りを行うと…
ぐっは!!
とプレイヤーも巻き込まれてしまう。これで意外と一撃じゃ倒されないんですよねって
しかし、そのリアリティが戦略性、自由度、臨場感を生み出しています。
ロボットの一挙手一投足に地響きが起こりロボット自身の大きさと重量感を感じることができ、主人公を操作してロボットの近くに移動するとより迫力の構図が味わえます。
現実のロボットを想定した重量感はド迫力演出と脅威を同時に植え付ける
ロボットと言えばアニメなどで表現だと操作自体難しいのでゲームでは遊びやすく移動や技など簡単に1ボタンでできる仕様となっているのが一般的です。
しかし、本作は全くの逆で手一つ足一つ動かすにも動作が必要で操作には慣れと状況に合わせた対応が必要となってくる。
ようは難しいということだ。逆に言えばマニアックな操作が可能で本来起きない不測の事態が起きそれに対処するのも本作の魅力の一つとして言える。
例えば、歩く動作で左足を出してから左足を出すと当然転ぶ。足を上げながら何かしらの動作をしたら転ぶ。というように歩く動作一つ取っても大変で現実世界さながらのロボットを現実で動かす苦労というのが実感できます。このあたりストレスになる方もいるかもしれません。
ですが本作は圧倒的重量感のリアリティの再現が売りで、随所にその工夫が見られます。
例を挙げると
・ヘリから撮影したような中継画面によるニュース報道
・一挙手一投足の地響き
・プレイヤーのロボットバトルへのリアル戦場参加
・ロボットのざらついた質感表現
・リアルロボットならではのトロくさい動作
・ロボットの姿勢を配慮しないと重力に逆らえない不安定さ
・街の建物などを破壊することができる
があります。
一見ストレスが溜まりそうな要素ですが、このようなゲーム意外と探してもないので、新鮮味が勝ってきます。
プレイヤーが移動の際はストレスなく建物の屋上や、戦場に接近するための工夫もされているのでそこは安心です。
その移動手段がこちら!
…飛んでる!バックパックなど無しで…
こちらジャンプと書いて「上昇」という移動動作だそうで、あまり突っ込まないでおきましょう。
一応グラビティゲージという滞空時間制限のメーターが存在するためそういった技術がその世界にはあるということでこの話は終わり!
しかし、物理法則を大事にした本作でプレイヤーの頑丈さ物理動作を無視した作り。それでもこの移動動作のおかげでゲームの自由度はとんでもなく上がります。
主人公は物語の理から外れるなんて往々にしてありますから気にしない!!
機人の肩に乗り進撃の巨人ごっこ!ロボットの肩に乗って移動なんてロマンですよロマン!
特にプレイヤーファーストな改善要素は街の破壊によるデメリットが少ないということでしょう。
本作はリアルなところはリアル、ゲームプレイにストレスを感じるリアル要素は排除しているのが良いですね。
私自身リモートコントロールダンディでは破壊こそ気持ちいいものの、建物破壊のデメリットでビクビクしながら(ある意味それもやり込み要素としては有ですが)プレイしていました。
巨大ロボットアクションだからこそこだわった攻略やエンディング分岐への影響
本作は3Dのアクションにキャラクター、シナリオを追加したことで詰め込みすぎた感があり、物語的完成度は高いわけではないが、リモートコントロールダンディでこだわっていた巨大ロボットを遠隔操作するというコンセプトは間違いなくパワーアップしています。
PS2でリモートコントロールダンディの後継が出たことによってPSより表現や出来ることの幅が広がり、それを余すことなく活用している作品です。
個人的にはキャラクターデザインをこれだけこだわったので人間関係などにもう少し突っ込んだ構成が欲しかったなと思います。
しかし、本作はペナルティが前作よりは優しいため、ウルトラマンばりに図々しく街での暴れっぷり、破壊いっぷりが楽しめます。
戦闘は意外と力わざで押し切るのではなく、ロボット自体の動作はどう見たってロボットアニメの動きより遅いため、攻撃を当てるかどうかが勝利の鍵となります。
格闘ゲームのように攻撃が当たるタイミングと間合いを見切り攻撃する。
間合いをミスると空振りする上に相手の間合いに飛び込み無防備状態となるのでカウンターを食らってしまいます。
立ち回りの戦略も必要となる実はリアルなだけに奥が深いゲームなんです。
スタッフも面白い遊び方をして欲しかったのか遊び方の推奨でこんな記述がある。
・車に気をつけろ
千丈市には、無人の「AIパトロール・カー」が街の治安を守るため、二十四時間休むことなくパトロールを続けています。
道の真中で機人を操縦したりする時は轢かれないように気をつけましょう。
…スマートアシスト無しだと!!AI到来時代ですがこれだったらまずいでしょ…
・黄色い線の内側で
駅のホームで電車を待つ際は、危ないですから黄色い線の内側で電車を待ちましょう。
電車に飛び込むと大惨事が起こります。
機人が立ってても平気で突っ込んでくる…
・建物を守れ
ゲーム中、奈々穂のバイト先など重要な建物が出てきます。
戦闘でバイト先が壊れていくと、奈々穂の生活はどんどん苦しくなっていきます。
ペナルティが少ない代わりにエンディングなどアドベンチャーパートに影響して反応が変わるのは良い要素ですね。
・グレネードは気をつけて使おう
手榴弾を使用するときは周りに人がいないか、建物が無いか安全を確認して使用しよう。
群衆の中に手榴弾を投げ込んでしまうと…
安全な場所でグレネードなんて使いません!!
・掴む!投げる!
機人は、人や物を掴むことができます。
もう一度掴む動作をすれば掴んだ物を置きます。
物を掴んだままパンチを打つと掴んだ物を投げます。
機人が物を掴んだ状態でアサルト・ナックルを発射すると、機人が掴んだ物は…。
絶対押すなよ!絶対だからな!
・敵の肩に乗って
プレイヤーがヴァルガーラの肩に乗ることもできますが、ヴァルガーラが機人から被った必殺技などの衝撃はプレイヤーにも影響するかもしれません。
でしょうね!したよ!思いっきり吹っ飛んで地面に叩きつけられた!しかし、主人公の装甲が半端ない。いって~で済むんだもん。
・様々な登場人物にアクション
ゲーム中、エレンの命を助けたり、協力したりすれば、あなたの好感度もアップ。
また三咲重工の建物を破壊すると、三咲勝が怒鳴り込んでくるかもしれません。
キャラクターにアクションを起こしてみましょう。
怒られてみましょう推奨?
とまあスタッフの遊び心があるからやってみてねとバカゲー要素も自由度がなせる業ですね。
まとめ
これだけ遠隔操作ロボアクションでこだわりがあるゲームはないので私個人としても次世代機で続編を熱望してしまうのですが、地球防衛軍売れちゃったもんな~…
地球防衛軍にもギガンティックドライブのロボ要素まであってプレイヤー自身が武器などで抵抗可能だしな…爽快感もあるし
地球防衛軍は正にいいとこどりの作品で上手く自分たちの強みを生かしていますよね。
東京ゲームショウにも巨大展示コーナーやステージが設けられるくらいなので人気作を重点的に企業の看板として力を入れるのは当然ですよね。
しかし、地球防衛軍と違い本作にしかない魅力といえばロボットを大きく見せるための様々な工夫です。
プレイヤーが貧弱な(グレネード持ってるけど)だけに緊張感が生まれてそれはそれで良い塩梅だったのですが…
巨大VS巨大が繰り広げる他の介入を許さない圧倒的なスケールの戦闘と建物破壊などのリアル表現が本作の最大の魅力と言えます。
アドベンチャー要素がしっかりしていれば雄一無二の作品であっただけに少し残念ではあります。
個人的には地球防衛軍は作品のコンセプトは素晴らしいのですが敵が苦手で…巨大アリとか虫が巨大化していてぞわぞわっとしちゃうので…
地球防衛軍は普段人間より圧倒的に弱いものが脅威となり地球を守るがコンセプトなので着目は本当に素晴らしい作品です。
鉄人28号を制作されたのであれば次は「パシフィックリム」なんてどうでしょう。私はあの映画のメカデザイン凄く好きですし、遠隔操作ではないですが、テーマとしてリアルロボットで重量感もあるのでどうでしょう。版権的に厳しいか…
個人的には遠隔操作ロボアクション単体作品が続編希望ですが売れんかったり、地球防衛軍の劣化版とか言われちゃうんだろうな…と勝手に絶望しつつ、この作品がなければ地球防衛軍のスケールは実現できなかったと考えると非常に意味のある作品であることは間違いないです。
巨大ロボを自分の思いのまま動かせる独特の操作性は今後のVR時代の到来で必ず採用されるであろう正に未来を先取りした体験をすることができる作品です。
アドベンチャー要素に力を入れた後継作品を期待する今日この頃です。
それでは次もね~