「妖怪のせいだから」
妖怪ウォッチで大ヒットした言葉ですが、見えない力、不思議体験は妖怪が起こしているのではないかという言葉の例えとしてこどもの間で広がりました。
私の子供時代に妖怪ウォッチがあれば間違いなく何度か親への言い訳として使用していたことでしょう。
昭和は妖怪・霊的漫画も多く代表的な妖怪のせいといえば「ゲゲゲの鬼太郎」などが有名ではないでしょうか。
そして上記のように平成後期を代表するのがやはり「妖怪ウォッチ」ですね。
そして昭和でもなく平成後期でもなく私の産まれた平成前期はどうでしたでしょうか。
思い出してみると「ノストラダムスの大予言」など都市伝説や超常現象やUFO、UMAなどが流行っていたと思います。
今回紹介するレトロゲームは私たち平成前期世代の少年が夢中になった怪奇現象作品で唯一単独ゲーム化された作品です。
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・地獄先生ぬ~べ~
ジャンルシミュレーションゲーム プレイ人数1人・バンダイ
・バンダイ
・1997年5月16日
・PlayStation(プレイステーション)
・無
・「地獄先生ぬ~べ~」唯一の単独ゲーム作品。
・原作、「童守町」を舞台に童守小学校にプレイヤーがぬ~べ~担任のクラスに転校生としてやってきます。作品内キャラクターでは「地獄先生ぬ~べ~」の世界観を第三者視点で体験することができます。
・「表情選択」や「ツッコミ」という独自の心理アクションが起こせると同時にその心理状態を良く動くグラフィックで物語の演出を更に引き立てている。
ストーリー
キミは、なんとぬ~べ~クラスの転校生!
個性豊かな生徒たちに迎えられて一年間の学校生活を送るんだ。
不思議な事件や謎、霊や妖怪、ギャグ、そして恋…。
キミの視点でぬ~べ~の世界をトコトン体験しよう!
「地獄先生ぬ~べ~」説明書より
「地獄先生ぬ~べ~」とは
「地獄先生ぬ~べ~」とは、1993年~1999年まで「週刊少年ジャンプ」で連載していた原作「真倉翔」・作画「岡野剛」による漫画作品です。
「童守町」を舞台に「童守小学校の教員」として5年3組に赴任してきた「鵺野鳴介(ぬえのめいすけ):通称ぬ~べ~」が教師の現場を通して「妖怪」や「霊」を除霊、悪霊は退治し、時には不遇な霊と対話を交わすことで成仏させるなどただ戦うだけではなく人間ドラマを通した妖怪と霊、人間のかけはしとなっている。そんな作品です。
ぬ~べ~は霊能力があると同時にある一つの大きな特徴といえる武器を持っています。
普段は左手に黒い手袋をしていますがその中は鬼の手となっており、鬼の力が封じ込められています。
普段は除霊術を使い教師という立場から生徒や霊を導く熱い心の持ち主ですが、悪霊など強大な力に立ち向かう時は必殺武器として使用します。
続編として原作完結から三年後を描いたスピンオフ作品作品として女性版ぬ~べ~といった立ち位置のちょっと大人なお姉さんとして人気を博し霊媒師である「葉月いずな」が主人公の「霊媒師いずな」が2007年より連載されています。
こちらは原作では中学生だったいずなが高校生としてちょっぴり大人になって帰ってきます。
そして「霊媒師いずな」から9年後原作から12年後のぬ~べ~の新作連載が2014年に「地獄先生ぬ~べ~ NEO」として再スタート。
原作ファンには嬉しいぬ~べ~と童守小学校5年3組のその後と現在受け持つクラスを巻き込んで作品です。
特に原作でも主要キャラクターの一人である「稲葉郷子」が同じ童守小学校の教員として様々な問題に立ち向かいます。
ぬ~べ~作品は妖怪や霊の描写もさることながらぬ~べ~の魅力はギャグ、恋愛、人間ドラマ、バトルアクション、妖怪・霊描写をリアルながらも少年向けとして引き込む中毒性です。
確かに残虐表現や性描写など今の少年誌ではあまり考えられないトラウマ的描写です。
しかし、ワクワク→笑い→むふふ→ドキドキ→興奮→感動など読者の感情の流れを上手くコントロールして読ませるシナリオと作画力は見事というほかありません。
あの大人向けと言わんばかりの挑戦があったからぬ~べ~や童守小学校の仲間と大きくなった我らが当時の少年たちは大人向け雑誌に連載されたいずなやNEOを懐かしみまた手に取るというこれまた見事な流れ。
私も怖いのに少年時代に何度も1巻から一気読みを繰り返したほどハマりました。
また続編も含めてその時代背景に合わせて教育現場の問題など熱い教育ドラマの一面もあります。
そいて原作最終話も凄く綺麗に終わっているため読んでいてスッキリします。
サービスシーン結構過激で多く少年たちは妖怪漫画を読んでいると言いつつコッソリとサービスシーンも楽しんでいたことでしょう。
ぬ~べ~は連載当時やその後などもその大人と少年向けの両極から小説、アニメ、映画やドラマのメディアミックス作品としても幅広く展開しました。
ぬ~べ~唯一の単独作品
ぬ~べ~は人気作品ですがゲーム化としての動きはあまりなかったようです。ジャンプキャラクター集合作品やパチスロ化されている程度です。
ぬ~べ~はイタコや半妖などキャラクターも豊富なのでとも思いましたが当時の環境のアクションゲーム化としては難しさかったように思います(どの作品とは言いませんが遠い目…)。
登場キャラクター数は15人以上でフルとはいきませんが一部分キャラクターの反応など各キャラクターにアニメ版声優によるボイスが付いています。
プレイヤーはぬ~べ~の担当クラスである童守小学校5年3組の転校生としてぬ~べ~の世界観を追体験し仲間たちとともに「童守町の不思議探索」と「事件や謎の解決」を行います。
ホラーらしく七不思議探検やミステリーのような怪事件、多くの謎を解決していきます。
シミュレーションゲームでの醍醐味であるキャラクターたち会話などで怪事件などの情報を集める「会話パート」、そしてその情報をもとに情報の真相を確かめるための「探索パート」に分かれています。
ゲーム内は時間帯が存在し平日は学校に通い「午前授業・昼休み・午後授業・放課後パート」の流れで進行します。
休日は自由に童守町を探索でき土曜日の午後に2か所、日曜日はフルで4か所探索ができます。
この土曜日がなぜ2回?ゲームの仕様?と思った方お若いですね!
平成の初期頃まで午前だけ学校や会社があった時期が日本にあったんですよ!
知ってました?
私も小学校に少しだけその時期を体験しました。今じゃいやだけど朝は学校昼からはいつもより早く遊べるという子供時代の感受性としては最高のご褒美だったようにも思います。
社会人だったら憂鬱だったかもと懐かしく思います。
話しを戻すと上記の情報収集をこなしながら3学期のエンディングまでの学校や町のイベントを攻略していきます。
本作は情報収集など「キャラクターとのコミュニケーション」が主な内容です。
ぬ~べ~に登場するキャラクターだけあって個性的な面々ぞろい。
原作主人公ぬ~べ~こと「鵺野鳴介(ぬえのめいすけ):通称ぬ~べ~」。霊能力を持ちで普段はおっちょこちょいで意外とトラブルメーカーだがこと霊のこととなると生徒を命がけで守ってくれる頼れる先生!
そして原作では生徒として続編の「地獄先生ぬ~べ~NEO」ではぬ~べ~と共に教師として生徒を助ける、ぬ~べ~の生徒の中でも一番繋がりがあるであろう「稲葉郷子」。
スポーツ万能、当時の正にキャプテン翼のようなサッカー少年「立野広」。郷子とは事あるごとにいがみ合うが、本当は誰よりも仲間思いで熱い少年。
小学生なのにDカップというナイスバディな持ち主「細川美樹」。性格なのか思春期ではないためか本人はその美貌を惜しげもなく見せびらかそうとします。
水泳の授業でも学校指定水着ではなく自前のビキニで登場するなどトラブルメーカーでもあるが原作きってのセクシー枠。
クールで少し不良ぶるなど少し背伸びしたい年頃の男子である「木村克也」。しかし、人情深く、原作ではその根の優しさから霊の心を解きほぐすこともしばしば。
そしてホラー漫画の巨匠「楳図かずお」の影響であろう思いっきりまことちゃんの「栗田まこと」。みんなと比べて幼く見えることがコンプレックスで自分の成長を最も不安に思っているであろう少年である。
そしてクラスの癒しであるおっとりした性格が特徴のノロちゃんこと「中島法子」。原作では内面に秘めた大胆なセクシー願望が例によって支配される回は多くの男性ファンを虜にしたであろう。
そして頭脳明晰な博士体質である「山口晶」。科学が好きで原作では最も霊を否定しなければならない立場から霊の現実を受け止められない一面も。
「ヘ~イベイビ~」と言わんばかりの典型的なお金持ち「白戸秀一」。生意気だが超常現象が好きということもあり色々な実験や噂話を持ってくる物語のキーワードメーカー。
こちらもお金持ちの箱入り娘「篠崎愛」。しかし、彼女はその特別扱いをされる境遇を嫌っている。そのため何も無心で(バカ)愛とお嬢様として接してこないまことには心を開いているという世間知らずのお嬢様な一面も(それがまことの良さでもあるが)。
そして本作の大人サイドのヒロインといえばこの2人。
ぬ~べ~に恋心を寄せつつも、それぞれに問題を持ち勝手にコンプレックスを抱く2人。
ぬ~べ~と同じ教員の「高橋律子」と雪山でぬ~べ~に助けられたことで恋心を抱いた雪女「ゆきめ」と大人サイドの恋愛事情にも注目です。
そして妖狐が人間に化けた姿の「玉藻京介」。ぬ~べ~とは死闘を繰り広げるもその後良きライバルに。度々ぬ~べ~たちに協力して手助けをしたり人間の生活にも慣れてきて親しみやすい一面も出てくる。女性ファン受けの良い落ち着いていてクールな病院の先生です。
そして「霊媒師いずな」では主人公に昇格し私のヒロインでもあるみんなのお姉さん「葉月いずな」。
あの頃の中学生、高校生のお姉さんキャラクターってちょっと大人な感じが魅力的だったんですよね。
霊媒師としては修行の身で物語では生徒というよりかは半人前の霊能力者としての立ち位置であろう。
そしてその成長物語が魅力的なためスピンオフ作品ができたのだと思います。
あなたの表情と選択がシナリオ、仲間の好感度に変化を与える!
本作はぬ~べ~作品のキャラクターたちとのコミュニケーションが攻略の鍵となります。
グラフィックはアニメ調で立ち絵パターンも表情だけではなく感情ごとに原作でもお馴染みのポーズをとったりと表現豊か。
瞬きもするなど意外と芸が細かいグラフィックとなっており会話パートを盛り上げる演出に一役かっています。
そして本作独自の会話システムとして「表情選択」と「ツッコミ」があります。
「表情選択」はプレイヤーが各キャラクター相手への質問に答える際に答えの選択しと同時に出現することがあります。
この答えがどんな表情でキャラクターたちに見られているかで相手への心情も変わってくるということです。
つまり同じ「おはよう」の挨拶でも心から言っているか愛想笑いか嫌々いうかを選択できるということです。
本作ではそこまで本格的には掘り下げらていませんがシステム的に本気で取り組んだら際限ないテーマとなるでしょう。
「ツッコミ」はキャラクター同士の会話にその名の通りツッコミを入れるシステムです。
「逆転裁判シリーズ」の気になる会話部分を「待った」して掘り下げるシステムに似ていますが、これはツッコミなので嫌味をいったり褒めたり、疑問に思ったことをキャラクターに投げかけることで新たな情報を発見することができます。
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この会話パートは情報収集だけではなくキャラクターとの好感度にも影響し、好感度によっては季節イベントなどで好感度の高いキャラクターの特別なイベントを見ることができます。
選択肢によってキャラクターとのシナリオやイベント内容にも影響するため繰り返したプレイして楽しむことができます。
狙った相手以外には愛想悪くすることもあり…
なずな姉さんの「3倍返し忘れたら…コロス!」がくそ可愛い!
そしてなんといってもぬ~べ~といえば妖怪や霊とのバトルシーン!
集めた情報でイベントを進行させると原因である霊との「戦闘パート」になります。
「戦闘パート」ではキャラクターとの好感度が高いとそのキャラクターと協力して霊を誘導したりなどぬ~べ~の手助けをすることができます。
また「ゆきめ」や「玉藻」のように霊に対抗しうる力があるキャラクターとシナリオで接触していると応援としてぬ~べ~と共に戦ってくれます。
ゲームの攻略方法としてはやはりいかにキャラクターたちの好感度を上げるかが全ての要素の鍵となります。
一つ一つがぬ~べ~作品の魅力であることが伝わる良い作品ですが人によってはバトルシーンがとかの批判もあると思いますがバトルシーンはある意味コミュニケーションの結果を繁栄させている演出なので、コミュニケーションゲームという観点でプレイして頂ければこのゲームの魅力を感じることができると思います。
まとめ
妖怪や霊のシナリオ自体は原作お馴染みのパターンが多いがやはりゲームという尺によってキャラクターの正確や日常シーンがより深く掘り下げられています。
グラフィックは表情豊かで会話の選択肢によって変わるキャラクターの心情や反応、シナリオと丁寧に作られています。
プレイヤーが童守小学校5年3組の一員として追体験できるのも良い点です。
原作唯一のゲームなのでコレクションアイテムとしても原作ファンの方々にもオススメです。
新シリーズも連載中ですし、原作合わせてチェックして欲しい作品です。
それでは次もね~