【夕闇通り探検隊】噂の考察が霊障という実体のない恐怖を現実にしてしまう噂の名作

クレヨンしんちゃんの「かすかべ防衛隊」など地域に密着した子供組織を作り上げること。

それは町の平和をという正義感だけではなく、子供に多く持ち合わせた「冒険欲」が町を練り歩いて探索することのワクワク感を求めている。

怖い物見たさだが、仲間と一緒なら自分一人じゃ不安な洞窟や隠れ穴、暗い通路、狭い路地、木々が生い茂る森も探検したくなってくる。

そんな子供時代の未知との遭遇は大人になってからでは感じることのできない不思議な感覚と体験を与えてくれる。

そんな未知との遭遇を解決に導く探検隊!

タイトル販売元開発元発売日フォーマットアーカイブス

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・夕闇通り探検隊

ジャンルアドベンチャー

プレイ人数1人

・スパイク(現:スパイクチュンソフト)

・スパイク(現:スパイクチュンソフト)

・1999年10月7日

PlayStation(プレイステーション)

・無

それが今回紹介するレトロゲームはそんな未知かもわからないあくまで「」を探求するこちらの作品。トワイライトシンドロームスタッフが関わったのはごく少数であることとトワイライトシンドロームの派生作品としてあまり世に知られることはなかった。本作は当時アドベンチャーゲームとして人気の高かった「トワイライトシンドローム」の後継作品として発売されました。

しかし、時を経て再評価されアーカイブス配信希望の声も上がる中配信は絶望的なため生産数の少ないこの作品は自ずとプレミアゲームの仲間入りを果たしてしまう。

プレミアゲームと言っても生産数の少なさだけではなくこのゲームにはちゃんと「面白さ」という実力を兼ね備えている。

市場価格は高騰しているがおすすめできない程の値段とも思わない。

私はこの作品にそれだけの「価値」があると考えているからです。

その「価値」がわかればあなたもきっと欲しくなるはずです。

本作のセールスポイント

・ありふれた日常に忍び寄る100もの「噂」を探求する冒険感と日常と非日常の両極を表現する世界観。

・リアルとドットを組み合わせ作り込まれたグラフィックと癖のある不気味なシナリオ。

・いきなり非日常に引き込まれ恐怖を駆り立てる演出の数々。

ストーリー

あと100日で、誰か死ぬ。

陽見(ひるみ)市は大都市の郊外にある、日本のどこにでもありそうな街。

初めは小さな村だったが、高度成長期に入ってしだいに人口が増加し、ベットタウンとして発展した。

昔は家もまばらで自然豊かな風景が広がり、夜になるとあたりは一面真っ暗だった。

だが、家やビルが建ちならぶにつれて、山がくずされ、森の木が切り倒され、「闇」はすっかり消えてしまった。

それと同時に、古き良き時代の村に宿っていた「もの」は失われてしまったのである。

陽見台中学に広がった「人面ガラス」の噂。

その真相を確かめに、ナオ、クルミ、サンゴの3人は森の中にある「鳥塚」を探検しようとする。

これはまた、クルミに想いをよせているナオにとってはデートの口実でもあった。

その日の夜、3人とナオの愛犬・メロスは、森の中へ入っていった。

だが、鳥居の前に来たとたん、メロスはなぜか立ち止まり、先へ進もうとしない。

ナオはメロスを水飲み場につなぎ、クルミとサンゴを残して鳥塚へ向かった。

やがて、ナオの目の前に満月に照らされた鳥塚が現れた。

周囲を調べてもなにも発見できず、帰ろうとするナオ、しかし、そこに一匹のカラスが現れ、鳥塚の上に留まった。

その顔は……!?

ナオは恐怖のあまり、失神してしまう。

こうして3人にとって恐るべき100日が始まったのである。

夕闇通り探検隊説明書より

学生視点の噂を徹底的に掘り下げた噂ホラー

本作は「44の噂」が存在する。

それがホラーと結びつくは別にして噂を元に検証して解決をするのがこのゲームの目的になります。

探検の舞台は「陽見市(ひるみし)」。

この陽見市という舞台は実在する東京都日野市をモデルにされています。

プレイヤーは3人の主人公たちを操り噂を集めこれを検証していきます。

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ストーリーでも触れた通り本作の根本の出来事は「人面ガラスを見ると100日で死ぬ」という事。

その非現実とも言えるが逃れがたい現実から逃れるためにエンディングを目指します。

と…プレイヤーの目的はこれなのですが、ゲーム内のキャラクターはそうでもありません。

好奇心を胸にただひたすら噂の検証と向き合う。

まるで今でいうユーチューバーですね。

噂を元に検証、しかしそこには発信力はない。

彼らが発信力を手にするのは死んで死体で発見されてから。

再度また「人面ガラス」の噂が飛び交う時です。

そんな噂の検証を行うのがこの3人と1匹?

唯一の男操作キャラクターの「ナオ(村瀬 直樹 13歳)

うぶでこのゲームの発売は1999年にもかかわらず2018年現在の「草食系男子」を思わせる繊細でナイーブな男子。

中学生なだけあって思春期真っ只中。

しかし、少年は「肉食系男子」になろうとクルミに告白するために犬の散歩に誘うことがこの物語始まりともなる。

犬散歩デート…なんか一見地味だがのんびり気になる子と歩くだけデートもいいな…

それと犬の散歩の犬こと走れ!「メロス(オス)」。

メロスは一見クルミのデートの口実なように思えるが物語の攻略で非常に優秀な相棒だ。

動物は人間が感じることのできないものを感じるというが、メロスも霊的な何かを感じると明らかな嫌悪感を示し先へ進みたがらない。

その動作こそキャラクターやプレイヤーに与えてくれる何よりのヒントと言える。何かいる…!と…

天真爛漫な不思議ちゃん!ナオが気になる噂の「クルミ(椎名 久留美 14歳)」。

容姿は大変可愛らしく明るい女の子だが知能の発達が他のみんなと遅れているため何かと周りから浮いた存在となっている。

そんな彼女の不思議な言動や行動を例えて周りは「宇宙人」と呼んでいる。

また彼女は「霊」的な何かを感じやすく現実の一部として持ち合わせ常識としているところも周りから浮いた存在としての拍車をかけている。

「天は二物を与える」とは容姿も良く「霊」も見える彼女にはピッタリだが、その反面恵まれたからといって必ずしも人生のプラスにならないと体現しているのもまた彼女である。

そして今回の霊的騒動を真っ向から否定派のキャラクターである「サンゴ(平内 繭 12歳)」。

他の二人の愛称が名前にちなんだものに対して彼女はサンゴという愛称。

何故かと言うと彼女には恋愛依存症の姉がおり、女らしさを毛嫌いしている。

そのため本名である「まゆ」という女らしい名前を名乗ることに抵抗があるようだ。

しかし、中身はやはり乙女で幼馴染のナオに想いを寄せている。

普段はサンゴという愛称そのままにその想いを否定している。

ある日ナオが想いをよせるクルミに犬の散歩デートに誘うのを機に居ても立っても居られず散歩に同行し、100日呪いに巻き込まれてしまう。

典型的なツンデレ文学少女。

何とも青春真っただ中の甘酸っぱい三角関係だが、それがその内不思議で呪われた三角関係となっていく

日常を作り込みすぎて非日常のギャップに震える

本作の魅力は何といっても作り込まれた日常からふわぁ~っと浮き上がってくる非日常。

この呪いの100日で何ができる?

それは1日の活動でまるで違ったものとなる。

1日の基本的な流れは「学校パート」、「相談パート」、「散歩パート」、「プライベートパート」に分かれている。

1日の始まりは「学校パート」から始まる。

3人のキャラクターから選択し学校で噂を入手しよう。

学校パートは現実時間では5分という時間で進行するため限られた時間内に噂集めの手がかりを探りましょう

上記で述べたようにクルミなどを選択するとクラスメイトには「宇宙人」とさげすまされなかなか話しに応じてくれず噂を集めにくい。

このゲームは3人の主人公というのがきもでありそれぞれの「人間性」や「社会性」、「特性」を活かして適材適所で噂集めを行いましょう。

当然クルミにしかできないこともあるのであえて学校でクルミで噂集めを行いクラスメイトの反応をみるのもシナリオを楽しむ上でもおすすめです。

噂を手に入れたら次は「相談パート」。

3人寄れば文殊の知恵」噂の検証をどのように行うか3人で相談を行いましょう。

ナオとクルミはどことなく浮世離れしている感じなのでこういう場に現実的なサンゴがいてくれるのは非常に攻略の助けとなります。

しかし、現実にはあり得ないことも起きているので他のキャラクターの感性も非常に重要なポイントとなります。

作戦会議の後は実行あるのみ!地図から行きたい場所を選択しいざ探検!

キャラクターを選択し集めた噂を元に街を歩き回り、噂の正体を暴いていく。

学校パートでもそうですがとにかくキャラクターの一つ一つのアニメーションが細かくより私たちの世界とシンクロするように物語が進行するのが見て楽しい感じて楽しい。

犬に引っ張られる動作やキャラクターによっての歩き方立ち振る舞いは特徴を捉えており、動作を大人、子供、人物でちゃんと特徴を分けているため非常に共感できる。

例えばこのプライベートパートシーンで冷蔵庫を閉めるとき。

冷蔵庫から出したものを両手に抱えているので足で蹴ってドアを閉めています。

学生時代よく親に横着しないで手で閉めなさいと言われたのを思い出します。

このように学生時代の無頓着さや大人になったからこそわかる周りの大人たちの態度や立ち振る舞い。

学生時代このゲームが高騰していて買えなかった人たち!

今こそ学生時代と大人を経験したからこそ本作はさらに楽しくプレイできるはずです。

押し入れにしまっているあなたも再度プレイすると懐かしさと新しい発見があるかもしれませんよ!

そして最後は選択したキャラクターの「プライベートパート」。

これは散歩から帰ったキャラクターの帰ってから寝るまでの様子が描かれます。

ここでは家族の様子やそれに対するキャラクターが1人になった時の様子などでキャラクターの人格形成に影響を与えた家庭事情など様々な人間模様垣間見える

ホラーよりもホラーな話しなど人間が一番ホラーだと感じる場面もあり、非日常ならずとも日常にもこのような演出がなされている。

ちょっとした人間ドラマを見ているようでアドレナリンが出てくるほど生々しい。

それぞれパートごとに進行していく1日はどれも違う1日となっている。

違う1日すぎて余計3人が噂解明に躍起になっているのが非日常という疎外感さえ生まれるほど周りは日常を送っている。

背景や建物、通行人など1人1人がとても良く動き日常と溶け込んでいる。

それはキャラクターのリアルなグラフィックがあってこそだ。

本作はトワイライトシンドロームの後継作品ともいえる作品。

シリーズでお馴染み実写調のグラフィックがホラーゲームとしての真面目さを際立てている。

決して万人受けにコミカルすぎる演出ではなくひたすら真面目に現実とのギャップをそぎ落としたホラーゲームとなっています。

3人は100日後…あなたの攻略方法で3人の結末が決まる…

本作はフラグによってのマルチエンディング方式でトゥルーエンドとバットエンドが決まる。

そしてバットエンドに関しては隠しパラメーターである「霊障」というものが大きく関わってきます。

これは人面ガラスの呪いの進行度を表すものであり悪い行動や霊が蔓延る領域に足を踏み入れた際に上昇する。

霊障」について少し調べてみたのですが、この単語、実際に体の不調が霊的何かが原因とする場合に用いています。

これを見て私はゾクゾクっとするとともにまた一つゲームの現実が私に近づいてきた感覚して興奮をおぼえました。

霊障システムは上記で述べた通り一定の数値によってキャラクターの身に「霊的な何か」が起こります。

また霊障が100溜まると100日を待たずしてゲームオーバーとなります。

 

そして私たちの現実とさらにリンクするモードが「パノラマモード」。

パノラマモードは何かが起こる、何かがいる、何かが潜むそんな時に発動する。

パノラマモードは言葉の通り360度を見渡しその違和感を見つけ出すモードです。

パノラマモードの背景は実際の実写を使っているためそれだけでも現実感がある。

ご近所の方はとんでもない没入感と今後そこを通るの怖くなるかもしれません。

辺りを見回すと…

うおい!

びびるマジびびる!なんか絶対あるだろうと分かっていてもびびる。

これはBGMの力が大きい

ホラーゲームは特に恐怖BGMには力を入れているから余計びびる。

びびるびびるばっかりいってるがびびる。

しかもそれだけじゃなくこの霊とも何とも言い難い人々?は意外と話しかけてくる。

そのため一見写真映りの悪さ並みの立ち位置なんだなぐらいにしか思わないが後でよくよく考えたら凄い怖いことだったと安全地帯に行ってから気が付く恐怖。

これが癖になるとたまらない。私は別の記事でもホラーゲームは苦手と言っていますが嫌いじゃない。

怖い物見たさの究極のチキン野郎なだけです。

まとめ

本作は「噂が独り歩きして」の究極をゲームで表現した名作です。

ホラーの醍醐味と言えば日常に非日常が姿を現すその刹那の出来事に後々恐怖する。

日本のホラーはそういう傾向にある。

死角からバー!とドッキリの類ではなく、じわりじわりと怖くなってくるいわゆる「よくよく考えたら怖くね?」っていうこと。

例えば夕方友達との帰り道、横をすれ違ったお姉さん。

すれ違った直後は気づかなかったが、そのお姉さん体は前へ頭は180度に曲がっていたのです!

怖くないですか?

でも実はその女の人コートを着ていて後ろ前逆だったため体が顔の正面とは逆側を向いていたように見えた。

それに夕方のぼんやりとした暗さの中だったのでそう見えてしまったかもしれません。

しかし、勘違いの恐怖でその二人は次の日学校でその恐怖体験をみんなに話します。

そうすると噂が独り歩きして「うちの町内には夕暮れ時に首捻じれ女が現れる」と噂が広まる。

当然コートを普段はちゃんと着ているお姉さんはその後首捻じれ女と誤解されることはなく発見報告はなくなり。

噂の範疇でおわる。

しかし、そこで面白半分に噂通りのネタを自作自演する輩が事件を起こし町内では「首捻じれ女の犠牲者がでた」となる。

これでホラーは完成してしまう。

つまりホラーは現段階で解決できない事件の事をさしており、現代でホラーが少なくなってきたのは現代人が科学の検証力で「超現実的になった」ためではないだろうか。

話しを戻すと本作はまだ平成とはいえ発展途上の段階、また90年代は空前のホラーブームに沸いており、その手の話しは大好物であったでしょう。

私も記憶がある限りレンタルショップにホラー映画が目立つ位置にズラーと並べられ通りたくなかった。

スーパーの入り口には平気で「学校の怪談」のポスターが貼られており恐怖したものです。

本作はそんな非日常には無力な日常を平凡であまりにもリアルな日常の再現度でそのギャップを演出している

その再現度の高い日常に私たちは共感できてしまうため迫りくる非日常が私たちの心で勝手に膨れていきゲームの没入感を何倍にもしている。

考察が考察を生む噂話しの数々。

もしかしたらホラーとは非現実ではなく、私たちの思い込みや精神状態、世界を見る目の違いでそう感じる現実なのかもしれません。

当ブログでは魅力をお伝えするだけに留め、ネタバレは避けたい。

自身の感覚でこのゲームの良さを存分に味わって欲しい。

攻略は非常に難易度が高いが難易度ばかりに気を取られずともテーマが難しい。

しかし肌には確実に伝わるものがある。そんなゲームです。

スパイク 1999年10月7日
メディアワークス 1999年9月22日

それでは次もね~

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