カードゲームは古来よりかるたや百人一首、トランプなど決められた種類、枚数で競い合うゲーム。
それが近来では「遊戯王」、「デュエルマスターズ」、「ポケモンカードゲーム」など数多種類のあるカードを収集して対決するカードゲーム。
「トレーディングカードゲーム」が子供から大人まで世界的人気を誇っています。
世界大会などが開催され入賞限定カードなどには車や中にはマンションが買えるくらいの価値となるものも!
「自分専用の山札(デッキ)」という概念もトレーディングカードゲームの登場で爆発的に広まった言葉でしょう。
今回紹介するレトロゲームはその「トレーディングカードゲームの祖」とも言われる元祖トレーディングカードゲームを家庭用で最初にテレビゲーム化した作品です。
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・MAGIC:The Gathering(マジック:ザ・ギャザリング)
ジャンルトレーディングカードゲーム プレイ人数1人・セガ
・アルファ・システム
・2001年6月28日
・Dreamcast(ドリームキャスト)
・無
・日本国内唯一の家庭用ゲーム機で発売した「マジック:ザ・ギャザリング」ソフト。
・マジック:ザ・ギャザリングが大きく転換した「第6版ルール」を採用。
・繰り返し対戦できるためマジック:ザ・ギャザリングのルールを覚えるためのシミュレーションソフトとしても使用可能。
ストーリー
辺境のプレーン「セレスタ」……
多次元宇宙ドミニアより隔絶したこの世界では、永きにわたり各色マナに冠する5つのギルドとそれを運営する最高評議会が平和と秩序を以って大地のバランスを維持してきた。
しかし、あるとき異世界からの邪悪な侵略者によって「セレスタ」は瞬く間に制圧されてしまった。
侵略者は「セレスタ」の豊富なマナ資源の採取を目的に、配下のアプレンティスに各地のギルドを支配させた。
最高評議会の長である長老ヤゴチェは、自らの集落に魔法の防御円を張ることでこの惨事をからくも逃れていた。
だが、侵略者のマナ略奪により、大地の魔力は乱れ、次第に防御円は効力を失いつつあった。
こうした危機の中、幾人もの魔法戦士が侵略者から土地を奪回しようと挑んだが立ちはだかるアプレンティス達に阻まれ、成功した者はいなかった…
…侵略より数年が経ち、ひとりの青年戦士「タイラー」が最後の希望の光として見出された。
今、ここに語ろう…
戦士タイラーの戦記録を……
「マジック:ザ・ギャザリング」説明書より
マジック:ザ・ギャザリングとは
「マジック:ザ・ギャザリング」とは1993年に発売された「ウィザーズ・オブ・ザ・コースト」社製のトレーディングカードゲームです。
ボードゲームを元にアイデアをしただけあり、土地や、マナなど世界から溢れる生命や不思議な力を使い戦う。
また美しい絵画のようなイラストともに物語を記されたフレーバーテキスト(世界観を表現した文章)は美術的観点でも評価が高いです。
また「パワー9」と呼ばれるマジック:ザ・ギャザリングの中でも特に効果が強力で凶悪で高額なカードが存在します。
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その最たるものが「ブラックロータス(Black Lotus)」と呼ばれるカードで過去にこの一枚で事件が起きたこともあるぐらい、それだけ中毒性があり、ある種の神話性のあるカードとも言えるでしょう。
カード一枚で…恐ろしや…
日本国内では知名度とあまり子供向けでないこともありますが「もっともよく遊ばれているTCG」としてギネス世界記録にも認定されている世界一のトレーディングカードゲームとして知られています。
全てが完成されたように見えるゲームですが、唯一欠点があるとすれば「派手な演出ができない」ってことですかね。
遊戯王のように「滅びのバーストストリーム!!」とかデュエルマスターズのように「ボルメテウスホワイトドラゴン!」とかポケモンのように「ピカチュウ!10万ボルト!」とかデュエルを盛り上げる演出はありません。
クールに淡々と「うん・・・はいはい・・・・・・あっ・・・・・・ターン終了です」と進みます。
まあ、別に他のカードゲームも基本的にはそうですが、この派手さこそ漫画、アニメやメディアミックスのキモとなります。
そのため「マジック:ザ・ギャザリング」メディアミックスをしにくい作品ですね。
しかし、だからこそ純粋に「もっともよく遊ばれているTCG」の座に居続けることができるのでしょう。
元祖トレーディングカードゲームの初期のカードと大きな転機となる第6版ルールを体験できる
私が小さい頃はトレーディングカードゲームといえば「遊戯王デュエルモンスターズ」、「デュエルマスターズ」、「ポケモンカードゲーム」が大流行していました。
最初はゲームボーイのポケモンの影響でポケモンカードにハマり、のちにゲームボーイカラーで発売された「ポケモンカードGB」にもドハマりしました。
そしてバンダイの練習版から現在流通しているコナミの「遊戯王デュエルモンスターズ」はその個性的な原作キャラクターとモンスターたち、融合など特殊召喚を交えたモンスターのパワーアップなどが魅力的です。
子供の時コロコロコミックで連載されていた「デュエルマスターズ」を読んでいました。
「デュエルマスターズ」は最初「マジック:ザ・ギャザリングでデュエルのマスターを目指すお話し」でした。
しかし、いつしか「マジック:ザ・ギャザリング」のマナという概念をベースにコストを払いカードを発動し、子供にも親しみやすく、日本人向けのかっこいい絵柄のカードに変更された、トレーディングカードゲームとしての「デュエルマスターズカード」が誕生しました。
そのためデュエルマスターズをプレイしたプレイヤーならルールはともかく「マナ」によるカードの使用など世界観は少し馴染みがあるかもしれません。
逆に遊戯王、ポケモンのプレイヤーはなんのこっちゃの世界観なのでとっつきにくいかもしれません。
ですが、対戦相手がいて、ライフを削り合うという根本は変わらないので、より本作の奥深さを知ることでハマるかもしれませんよ!
トレーディングカードゲームはその特性からいわゆるバランス調整の為に一定間隔でルールの改定を行っています。
本作DC版「マジック:ザ・ギャザリング」は第6版(Classic)のルールと354枚のカードを基本とします。
さらに復刻した9枚、DC版オリジナルの10枚が収録されています。
本作世界観とともにストーリーもあり、プレイヤーは「戦士タイラー」として各エリアを支配するものと「デュエル」を行います。
各ワールドの支配者を倒していくと「魔法石(ジェム)」が手に入ります。
この「魔法石」を選択するとその敵と再戦することができます。
本作のデュエルは以下のルールで展開してきます。
・本作をベースに基本ルールを説明すると、対戦は1体1。
・本作ではデッキ(山札)は40~80でカードを組み合わせ、同じカードはデッキに4枚までが基本的なデッキ構築となります。
・双方のプレイヤーのライフは20。
・プレイヤー同士がターンを交互に実行することでゲームを展開していきます。
・各々のプレイヤーは、ターンの進行手順に従い自分のカードを使用し、定められた方法で相手を攻撃する。
・攻撃を受けた際、自分の場のカードにより防ぎきれなかった攻撃は、その点数分のダメージをプレイヤーのライフから減らす。
・上記を繰り返し、ライフポイントが0になるか、山札を引けなくなったプレイヤーは敗北となる。
上記を基本ルールとし本作は現在のマジック:ザ・ギャザリングのルールの完成度を大きく決定づけた大幅改定となる「第6版ルール」を採用しているため、現在のプレイヤーでも楽しめる内容となっています。
本作は元祖というだけあってかなり作り込まれた世界観とルールなため最初は分からない。
初心者の私も最初はカード効果も把握できず、自分がなにをやっているかもわからない。
勝てなくて新しいカードが手に入らないからデッキが強化できないなど心配要素もあると思いますが大丈夫!
本作は「長老・ヤゴチェ」の下でデュエルを行うと勝敗関係なくカードがもらえます。
そして上記で取り上げた「魔法石(ジェム)」は長老がその支配者の能力(デッキや戦術)を真似して行うデュエルのため同様に勝敗に関係なくカードが手に入ります。
デッキの相性やカードの強さで行きづまったら長老の訓練を活用することが攻略の助けとなります。
また理解できなくても繰り返し対戦を行うことで「なんとなく」のルールが分かってきます。
大会じゃない限り細かいルールまで覚える必要はありません。
ルール上ダメだったり、できない手順はソフトのプログラムが止めてくれます。
できることできないこと、やって良いこと悪い事、上手くいくことと上手くいかないこと。
これぜーんぶソフトが判断してくれるのでそれらを感覚で覚えつつ楽しめばいいのです。
こういう時デジタルのカードゲームっていいなと思います。
買い切りでいっぱいカード付いてくるし、審判、ダメージ計算はコンピュータがやってくれるし。
本来のゲームの楽しみに集中できるのがゲームソフトの魅力ですよね!
本作ゲームにして最大の欠点と言えば「対人対戦モード」がないこと。
ドリームキャストはインターネット対戦が普及しなかったためネット対戦事態の導入はなくても良いのですが、「2台のコントローラを使った対人戦ができないこと」。
これが結構痛いですね。
とはいうもののテレビ画面一台でどうやって手札隠すのってことですよ。
馬鹿なことを言っているのはわかっています。
携帯ゲーム機で続編が出て欲しい…
今でこそインターネットを通じてマジック:ザ・ギャザリングのオンラインゲームがありますが、一人でしくしくとプレイするにはやはり携帯ゲーム機が一番。
疑似手札ともなりますしね。
でも任天堂、ソニーハードはやはり国内で人気のあった、「遊戯王」、「ポケモンカードゲーム」、「デュエルマスターズ」のゲーム化ばかり。
「デュエルマスターズ」に至っては日本国内においては師弟関係のはずが完全に弟子に喰われてしまいました。
ですが、全世界的に見ると既に完成されたゲーム性と魅力的なファンタジーの世界観。
フレーバーテキストで紡がれる物語。
そして落ち着いた大人の嗜むおしゃれなゲームとして国内で再注目されないかな…
まとめ
日本国内で「マジック:ザ・ギャザリング」の家庭用ゲームソフトは本作、そしてXBOXで発売した「Magic: The Gathering-Battlegrounds」のみとなります。
「Magic: The Gathering-Battlegrounds」は世界観は「マジック:ザ・ギャザリング」なのですがゲームシステムは「対戦型格闘ゲーム」です。
海外版として「Magic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers」が正統なTCG作品として発売されています。
ですが日本国内で「マジック:ザ・ギャザリング」のゲーム化に挑戦したのはセガ、もといドリームキャストだけ!
しかもXBOXはマイクロソフト製なので、本当に日本企業で「マジック:ザ・ギャザリング」家庭用ゲームソフト化に挑戦した唯一の作品といえます。
現在、配信用としては2009年より「デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズシリーズ」として日本国内でも複数のプラットフォームで展開されています。
マジック:ザ・ギャザリングは少し値段や敷居も高いかもしれません。
そんな時にこのソフトを思い出してください。入門編としては凄くお手頃で楽しめると思います。
ネット環境が普及しているので現在はグラフィックを楽しみたければ断然PC版でしょうが、初期のマジック:ザ・ギャザリングを日本語で体験するのはとても良いゲームです。
それでは次もね~