【ガラージュ】好奇心と支配欲は精神世界をも狂わせる

やっと紹介できる…

ずっと書きたかった作品。

自分で文章にするときにこの感じをどう吐き出したらいいか凄く悩んだ。

悩んでいても仕方ないので何日間に分けてじっくりと整理してみた。

結果はやはり複雑難解。

しかし、思いのほか単純な考えに行き着いた部分もあり楽しむことができた。

どっと疲れた。

キャラクターと一緒にこの世界に浸っていたんだ、浸れるほど没入感に優れた作品だったんだとあらためて感じさせられた。

今回紹介するレトロゲームは幻のPCゲームと言われている作品でそのたかい芸術性と世界観が味わえるアドベンチャーゲームです。

タイトル販売元開発元発売日フォーマットアーカイブス

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・ガラージュ(GARAGE)

ジャンルアドベンチャーゲーム

プレイ人数1人

・東芝EMI

・作場知生(PC版:ディレクター本人が許可を取り、私家版として発売)

・キノトロープ

・1999年(PC版)

・2004年頃(PC版:私家版)

・PC

・無

本作のセールスポイント

・芸術的デザインや不気味でもってかれそうな世界観の設定が魅力。

・キャラクターのセリフが章や条件、タイミングよって変化するので世界観をもっと知りたい人は繰り返し遊べる。

・誰もが違う考えに行き着く多様なキャラクター設定。

ストーリー

ここはどこかの治療施設。

あなたはガラージュと呼ばれる治療機械にかけられ治療を受ける。

何を治療するのか。

なぜ治療されなければならないのか。

いっさいのことは判らないままだ。

ガラージュが始動する。

強い眩暈があなたを襲い、あなたは不思議な世界に投げ込まれる。

そこであなたが発見するのは奇妙な機械の身体を持ったあなた自身だ。

そしてシェンという署名のある手紙を見つける。

「この世界から脱出しなさい。この世界は正しい世界ではない」

手紙にはそう書かれていた。

「ガラージュ」説明書より

ガラージュとは

ガラージュ(GARAGE)の意味は直訳すると「ガレージ、車庫、修理屋」のことであり、また音楽ジャンルの分類でもハウス・クラブミュージックの地域別の名残でガラージュと呼んでいることもある。

恐らく、あらすじでもあった通り、「何かを治療する」という意味でも「修理屋」ではないかと思う。

また後述するが、キャラクターの自身の足元に車輪があり、それを使用して移動するので「ガレージ、車庫」の意味でもあっているのかもしれない。

音楽ジャンルのガラージュは定義付けがなく、色んな説をもとに分類されそう呼ばれていることから、定義付けがない「なにを治療するのか、なんで治療しなければならないか」などの不確かなな要素を孕んでいるからなのか。

考察したらキリがない。

全部の意味かもしれないし、一部かもしれない。

治療というワードから「修理屋」が一番しっくりはくる。

そんな本作は1999年に3000本のみ発売され、後の2004年頃に本作の作者の一人であり監督の「作場知生」氏によって開発会社のキノトロープの好意により限定500本が発売されました。

限定500本は「私家版」と呼ばれ500本のその内90本は自家製箱入りパッケージとなっており、作場知生氏のサインが入った者となっています。

作場知生プロフィール

ここで紹介する「作場知生」とは本作の監督であり、1959年生まれの芸術家、イラストレーター、現在は自転車を製作したり、アプリ開発に関わったりなど多岐にわたり才能を発揮されている方であの「機械的な少女」を現実で動かそうと企んでいる(良い意味で)人物です。

氏の活動は独創的なサイトやTwitterでも紹介されているので詳細はそちらをご覧ください。

作品が気に入った人にはご褒美のようなコンテンツが溢れています。

ガラージュの公式サイトは現在ありませんが私家版のサイトは名残りとして現在も残していただけているようです。

作場知生公式サイト:「ru:」

Twitter:作場知生@sakuba

ガラージュ私家版公式サイト:BAD DREAM ADVENTURE”ガラージュ”私家版

本作は作場氏が開発会社であるキノトロープへの完全持ち込みで始まった企画で、その当時企画とともにゲームイメージのデッサンを200枚前後持ち込んだと言われています。

凄い情熱と行動力!何より企画を通してくれた会社の良く言えば先見の明や懐の広さとチャレンジ精神、悪く言えば無謀さ。

いきなりの持ち込みにGOサインを出すなんてそれだけデッサンの量で情熱とアートの素晴らしさで魅力を感じとったのでしょう。

あるんですよこういうこと。

私自身も理解を得られたり、挑戦を後押ししてくれる人が一人でもいると実現できてしまうことが世の中には意外とあります。

そしてその背中を押してくれた人には恩義すら感じます。

自分でも無謀だと思うことを挑戦させてくれたことへの感謝と、その度量に広さへの尊敬からでしょうか。

あとは時代も関係しているかもしれません。

ちなみにキノトロープではこんな可愛いゲーム「だんじょん商店会」というゲームも開発していました。

ガラージュとはちょっとイメージ違う作品ですが、色々なジャンルに挑戦する姿勢が凄いですね。

 

1990年代と言えばオカルトの再ブーム期で、わかりやすい例だと「ノストラダムスの大予言」でしょうか。

1999年7の月に恐怖の大王が来るだろう」なんて現代っ子は知らないかもしれませんが、そんな過去の人の一言で世間が右往左往した時代があったんです。

誤解のないように言いますが、楽しい時代ですね~

結局その時は何も起きませんでしたが、2001年9月11日に「アメリカ同時多発テロ事件」が起きた時は「空から恐怖の大王が降ってくるとはこれなんじゃないか」とこじつける人々もいました。

この9・11テロは本作の海外版「ガラージュ英語版」の発売中止にも関係しており、この事件によりアメリカの会社と連絡が取れなくなり中止になったそうです。

残念ですが、あの独特の言い回しを英語にするとどうなるのか気になるところではあります。

ですがテキストよりもグラフィックや音楽、纏った雰囲気で訴えかけてくる世界観があるので、どうしてもプレイしたい海外の方はオークションなどで見つけプレイすることもあるそうです。

海外では「hardcore Gaming101:Japanese Video Game Obscurities」で紹介されています。

ちなみに英語版自体は存在するようで作者である作場氏が所有していることをTwitterでも言及しています。

そのため周期的にリマスターや復刻、Steamなどの配信サイトでの復活を熱望されいます。

これは日本での需要に対しても影響があり本作、通常版、私家版合わせてとんでもないプレミア値段に高騰しており、安くても15万円(2020年現在)、状態が良いものだともっともっと高騰しています。

そのためプレイしたくても絶対数が少ないとともに英語版が発売されなかった影響により海外へも流出し、日本でも3500本の内どれだけ残っているのかな状況のため供給についてほぼ無限であるダウンロード配信での発売が希望されています。

これについても作場氏は今出すならリマスターではなくリメイクしたいとおっしゃっています。

それについてもクラウドファンディングなどの提案も見られますが、こればっかりは需要と供給、時代、作者のモチベーション、スタッフの再集結、周りの助けなど、様々な要素がかみ合わないとなかなか実現は難しいのではないでしょうか。

幸い開発会社のキノトロープは現在も存在するので期待してしまう声も多いのだと思います。

私のコレクション収集家の経験からすると配信が出たからと言って原版がそうそう安くなることはありません。

ちょっとぐらいです、ほんとにちょっと。

本当にプレイしたい人は原版を買う本気が試されるゲームの一つでもあります。

ちなみに一時期Unityでの移植の話しもあったそうなのですが、オーサリング(映像や音楽、文字などのデータをまとめて、ひとつの作品として完成させる作業のこと)データが紛失したため実現できなかったそうです。

これも残念。

その後作場氏のTwitterにてオリジナルのオーサリングデータの吸出しに成功しているとのこと。

これは中々興味深く何かしらの動きがあるのだろうか?

釣って稼いで交換して生き残りをかけてのサバイバル

本作はアドベンチャーゲームということで主に会話形式で物語を進めていきます。

そのため「会話」をすることが重要であり「会話」をするために様々な条件をこなしていく必要があります。

物語は章ごとに分かれており、会話を進めると章が進み、各キャラクターの会話なども更新されていきます。

目的のモノ話しかけると次の章に進みます。

本作は目的のモノに会うために移動し目的地を目指します。

移動するにはカーソルを行きたい方向へ持っていくと黄色い方向カーソルに変化するのでそのタイミングでクリックすると移動することができます。

カーソルには他にも様々な所を調べることができる機能があり指の形に変化するとその部分を調べることができるので周りをチェックしながら進んでいきましょう。

またカーソルに変化がないところでも何か隠されていることがあるため気になる場所や怪しい場所はクリックしてみましょう。

攻略にヒントが隠されているかもしれませんよ。

そして移動をすべるこの世界ですが本作説明書に付属する白地図には主要な道があり軌道が2本に併走しており建物を囲むように内側を走る「内周」と外側を走る「外周」が存在し効率よく道を進むためにはこの内周と外周の構造を把握することが重要であり攻略に必須とも言えるテクニックです。

白地図、本作のマップは小学校低学年の子供の行動範囲ぐらいを想定している。

その理由は一番情報密度が高くて、濃密な空間を表現できる大きさと想定したからだそう。

 

移動すると「白瓦斯(シロガス)」と呼ばれる燃料が消費されます。

これが無くなると「闇の中に取り残されてしまう(ゲームオーバー)」となる。

ゲームオーバーにならないためにも「白瓦斯」は「白瓦斯屋」で給油を行います。

白瓦斯屋は2号店もあるためそれぞれ場所を覚えておき近い場所を利用しましょう。

 

もう一つゲームオーバーになる要員があり、「順応度」というパラメータがあります。

「順応度」これはこの世界への順応度であり、これが低下するほど不安定さが増しパニック状態となり身体が言うことを効かなくなり、「自分らしさ」を失うことになります。

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自分らしさを失うと「オトヌケ」という状態になり、誰と会話しても通じない状態となります。

そして順応度が無くなると「解体されてしまう(ゲームオーバー)」となります。

ちなみに「ウデヌケ」という状態になるとモノをうまく扱えなくなりますので注意しましょう。

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順応度」も「順応堂」というお店で回復することができます。

順応堂にはメリーゴーランドに模した「木馬」と白いカプセルに入ることで回復することができます。

また本作ではセーブを自室のタイプライターで行うことができるのですが白瓦斯や順応度などの体力が低いと指が震えてタイプライターを使うことが出来ずセーブすることができなくなります。

これが「ウデヌケ」の状態です。

これは一見負の要素に見えますが、ゲームオーバーになる直前の体力でセーブを行うと、やり直しがきかなくなるためゲームオーバーの無限ループを防いでくれます。

白瓦斯」、「順応度」これらを回復するには無料では行えません。

この世界の通貨である「白瓦斯屋スタンプ」というものが必要になります。

白瓦斯屋とありますが、順応堂や他の買物施設でも使用可能な通貨です。

このスタンプを手に入れるには「水悽機械」と呼ばれる「蟹(かに)」や「蛙(かえる)」と交換してもらう必要があります。

蟹は「ビンドウ」と呼ばれる仕掛けで、蛙は「釣り」で入手することができます。

釣りを行うには「蟹」が餌として必要なので攻略順序としては「ビンドウ→釣り」の繰り返しとなります。

ビンドウはまず、仕掛ける場所を探します。

仕掛ける場所は軌道の横に設置してある赤いモノを上げ・下ろしする作業などに使用する機械である「ウィンチ」にビンドウを設置して蟹を捕まえます。

ウィンチは複数ヵ所に設置してあるので、ビンドウが増えるごとに設置可能な場所も増え、より効率良く蟹を集めることができます。

ビンドウを仕掛ける際、何も入れなくても蟹は捕まえることができるのですが、撒き餌をすることでより効率的に蟹を捕まえられるので余裕がある場合は試すと攻略の効率化につながります。

ビンドウを仕掛けたら後は待つだけ、時間が経過したらビンドウを引き上げて蟹を入手しましょう。

蟹を入手したら次に釣りに挑戦してみましょう。

当然ながら釣りを行うには「竿」と「釣り針」が必要です。

竿と釣り針は自室の周りを探索してあらかじめ入手しておきましょう。

そうしたら「釣り場」を探します。

釣り場は現実世界とちょっと変わっていて赤紫の汚水が広がる場所で釣りを行うことができます。

現実世界では生物も住まぬ場所ですが「水棲機械」なので大丈夫なのでしょう。

機械ならなおさら水は苦手なような気がするが水棲ってついてるし…まあ大丈夫なのだろう。

しかし、この汚水こそ生命が生きるという場所というよりかは羊水として生命の誕生を意味表す場所でもあります。

だから蛙もどこか生命の誕生や性別、種類など様々なものに「共通する部分」が表現されている。

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釣りが行える場所で釣りを始めようとすると最初に「釣り針」、「」、「撒き餌」を選択する画面が出てきます。

釣り針の大きさは釣り上げることのできる蛙の大きさに比例し、餌は種類に影響します。

撒き餌はよりレアな蛙が多く引きつけられるようになります。

大きい獲物は最初は釣り上げる力がないので小さいものからコツコツと集めていきましょう。

この釣り上げる力は「身体改造」により対応ができるようになるのでまずは小さな獲物から。

そして釣り針を汚水に投げ込めば釣りが開始。

釣りは画面右のリールに従って上下させて水面の浅い、深いを調整することができます。

通常時リールのメーターは青ですが、獲物がかかると赤く変化します。

この赤いゲージが無くなると釣り上げることが出来ます。

本作の釣りはメインコンテンツと言って良いほどしっかりできており、リールを上下させて獲物との距離感を丁度良い張力でゲージを保つ必要があります。

引きすぎもダメ、緩すぎもダメ、丁度良い場所にキープすることで始めて獲物を引き寄せることができるのです。

蛙には開発当初「蛙カード」などのアイデアがありましたが、未実装。

その名残としてカードマシン装置が白瓦斯屋の裏のに置いてあります。

こうして集めた蟹や蛙は「シガー標本商」に持っていくと買取を行ってくれます。

これで本作の世界の通貨である白瓦斯スタンプが手に入るわけです。

更なる大物を求める場合や釣り具の情報は「権兵衛釣具店」に言って釣り情報を購入すれば、どの蛙を釣るにはどんな針と餌と撒き餌で釣ることが出来るか知ることができるので集めたい種類になかなか行き当たらない場合はヒントとして入手しておくと攻略の助けとなるでしょう。

 

白瓦斯スタンプを手に入れたら次はお買い物です。

スタンプの調達→買物を繰り返すことで自分自身を強化し、探索、攻略の幅を広げることができます。

白瓦斯や順応度はそれぞれ店があるとして他の買物施設は「マルヤ百貨店」と呼ばれるショッピング施設に集約されています。

先ほど紹介した通り「シガー標本商」は蟹と蛙でスタンプを交換してくれるお店です。

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治郎兵衛商店」では「携帯用白瓦斯」など移動の途中で使用できる回復アイテムなどが手に入ります。

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権兵衛釣具店」は蛙や釣り場の情報、釣りに使用する道具を販売しています。

森脇身体改造」では主人公の身体を改造してくれる場所です。

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身体を改造することで白瓦斯の「燃費の上昇」、「順応度の上昇」、「出力の増大」で前述した釣りでより大きな獲物を釣り上げる力が手に入ります。

身体改造を行うにはスタンプの他に部品が必要になる場合があります。

部品は「トーロップリサイクルズ」で購入することができます。

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本田走行装置製作所」では燃費を向上させる「台車」を扱っています。

先ほど身体改造でも燃費が上昇すると記述しましたが、台車の方が効果は高いものになります。

しかし、台車はスタンプでは交換できず、代わりに赤いゲージが出て来てそこに、蟹や蛙をうめこみ青いゲージになると入手することができます。

他にも物語の攻略に不可欠なたくさんお店や登場人物がいます。

 

さっきから私自身ゲーム攻略の効率化や、アイテムによる効率を図るような説明になりましたが、それには理由があります。

それは本作の世界には「時間」という概念が存在するからです。

主人公以外の機械たちにも時間の概念はあり「タイムテーブル」に従って行動しており、出会うことのできる時間帯が決まっています。

部屋を訪ねても部屋に入れない時間帯もありますし、それこそプレイヤーと同じくステータスの回復に行ったり、釣りに出かけていたりもします。

プレイヤー以外の機械たちも生きているのです。

もしくは釣りに行ったり回復するなどプレイヤーと同じ立場で同じことをしなければならない存在なのかもしれません。

以上のゲームシステムの内容から本作は純度の高いおつかい釣りゲームです。

しかし、ここから、ここからがガラージュをガラージュたらしめる真の魅力が詰まっているのです。

元(本物)の自分を取り戻す精神の旅に出る

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本作はガラージュという治療機械から精神世界に飛ばされるところからスタートします。

気がつくとプレイヤーは何とも奇怪な機械な姿で産み落とされます。

そこは古びた工場風景のような場所で太陽の光は届かない、どこから電気がやってきているかもわからない場所。

古い場所であることはわかるため不気味であるが現実味を帯びた空間である。

そして主人公であるプレイヤー宛てに手紙が置かれている。

内容はこの世界からの脱出をうながす文章で最後に「カゲ」というものを探すようにアドバイス(指示?)が書かれている。

そしてこんな恐ろしい一文も…

とにかく脱出の手立てを見つけなければとんでもないことになるような急かすような文章だ。

そしてカゲを探すには「プシケ」と呼ばれるものに会う必要があるようだ。

私たち(プレイヤー)はプシケを探す長い長い彷徨いが始まるのです。

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プシケの情報は主人公と同じくこの世界に暮らす住人から話しを聞いて噂や情報を辿りながら探索や章を進めていきます。

ある程度会話や役割をこなすと次の章(目的)へといざなわれます。

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プシケとこの世界の謎を追う主人公。

その中でこの世界の仕組みが見えてきます。

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雄が釣り(狩り)に行き、雌はそれを食べる。

そして生成される白瓦斯を雄に供給する。

まるでお互いを支え合う夫婦のような関係が成り立っていた。

見た目は違えど現実世界のような関係性が成り立っています。

しかし、ここ最近雄があまり釣りに行かないようです。

どうしてでしょう?

それには雌の数と雄の数のバランスがおかしいからではないでしょうか。

そして白瓦斯屋の存在も大きな鍵となります。

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白瓦斯屋では3人+2号店の1人を計4人態勢で本店は雌を選ぶことができます。

好きな推しを選んで給油してくれるなんて握手会みたいでドキドキしますね。

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この本店の3人のカゲが上記の写真の女性たち。

恐らく気化して消滅してしまわないようにこのような機械に埋め込まれているのでしょう。

それにしても雌機械もそうですが、みんな手足がない。

雌機械の場合は移動ができないため狩りは雄機械に任せているのでしょうか。

それとも人為的に…

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この工場は実験工房を通ることで辿り着くことができ、ここにプシケ(カゲ)も存在しています。

カゲとは自分(機械)の分身のような存在で最初は誰にでも存在するが、急がないとその内気化してしまい、もう二度と元に戻る手段はないのだという。

そのため物語冒頭にシェンが主人公にカゲを探すように急かしたのは気化してしまう前にカゲを探し出すよう忠告したかったためですね。

どこかで見たことあるなぁ~そうですプシケは本作の初版のパッケージ表紙の女性なのです。

プシケは非常に強い力を持っており、他人のカゲ見つけることができる、そのためプシケに会うことを念押ししたのでしょう。

カゲは「シャドー」とも呼ばれており様々な形態が存在するようです。

機械の数だけカゲが存在する、しかし機械によってはすでにカゲが気化してしまうことがある。

その気化までの時間は機械それぞれなのだろうか。

それぞれだとしたらカゲは現実世界とこの世界を結ぶ存在なら現実世界での寿命や何らかの措置(延命不可)の場合などのことを言うのだろうか。

つまり現実世界の精神が入る器(体)がないと精神だけ彷徨い、戻れないということだろうか。

精神は厳密には脳ではなく魂のようなもののように思う。

その根拠はカゲがいなくなったものも精神(機械)として生きているからである。

体が死んだということは脳も死んでいるはずだから脳で考えている世界であればカゲがいなくなった時点で機械も動かなくなるのではないかと思うからだ。

こちらは2号店の雌機械。

目が見えていません。

雌機械の白瓦斯は雄機械にとって重要だが、この世界を保つ上でも雌機械の排泄物(汚水)も大変貴重で大切なものになってきます。

なぜなら汚水は全ての源となるだからである。

蟹や蛙も汚水から生まれでて、それを釣り再びエネルギーに変えることができる。

また汚水の根からは紙を生成することもできるため楽譜やポスターなどを作る際に使われているようだ。

しかし、最近のところ汚水が減少し紙を生成することが困難になってきたようだ。

そこで楽譜の裏にポスターをデザインして掲示板に張り付けているという。

なんのために?

それは「新世界」と呼ばれる場所からの依頼だという。

新世界」と聞くと現実世界、精神世界ともう一つのように聞こえるが恐らく違うだろう。

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新世界には映写機で映像を写す、いわゆる映画館がある。

そこで上映されるのは機械の盗撮だったり、はたまた雌機械のカゲを上映したりと新たな性癖を生みそうな映像ばかりである。

私の勝手な考察だがこの新たな性癖の開眼こそ「新世界」という意味ではなかろうか。

特にこの「シャドーマーダーショウ」は雄機械の現実世界での興奮を呼び起こすような映像になっている。

なんのためにこのような劇場があるのだろう。

ここでも私の考察だが雌機械の減少にあるのかもしれない。

雌機械の減少でいわゆる雄機械それぞれのお気に入りの女性(嫁)がいなくなったため、釣りにあまり行かなくなってしまう(行く必要性少なくなってしまっている)。

釣りに行かなくなると雌機械の汚水が減少するため、雌に貢ぐ、または雌への興味を駆り立てるための施設ではないかと思う。

もしくはカゲを失ってしまった機械への娯楽提供か。

ここで一つの疑問が生まれる。

雌機械の減少を食い止める施策はしないのか?

それさえ解決すればこの世界は上手く循環するだろう。

しかし、そこにはある機械の苦悩と野望と陰謀に真実が隠されていた。

その答えに近づいたのが本作の希望である「ルウ」だと感じた。

ルウは汚水減少の謎を探るために船を作り通常は通れない汚水エリアの調査を行っていたようだ。

しかし、今ルウは病室にいる。

そこで代わりにプレイヤーが調査することに。

そこで始めてプシケたち女性意外のカゲを見つける。

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そのカゲは「ヤン」という機械を恐れているようで、しきりに消されないか心配している。

この人物は自分のカゲではないが、一体誰のカゲだろう。

私は背格好的にルウのカゲではないかと思った。

それにルウは両性具有つまり1つの体に男と女を揃えているからだからとも感じた。

ヤンは主に雌つまり女を狩っていたので両性具有のルウは女性でもあって男性でもあるためスルーしたのではないかと考えられる。

またこれも憶測なのだがルウの元ネタは著述家・エッセイストの「ルー・アンドレス・ザロメ」という人物でこの人物自体は女性なのだがその死因とこのカゲに共通点があるように思えた。

この人物の死因は「尿毒症」だからである。

尿毒症の初期症状として拒食があり、このカゲもガリガリに痩せ細っているためそのように感じた。

あくまで憶測で、こじつけみたいなところがあるので。

カゲに会いました、はい終わりではなくカゲ本来の世界の橋渡し(自分の記憶を取り戻す)をするため原想体を与えます。

主人公があったガリガリのカゲの原想体は「うんどうぐつ

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うんどうぐつを渡すとカゲは本来の姿?に戻り気化していく。

ここからわかるように気化自体が元の世界への道が閉ざされるというわけではなく、記憶を取り戻した後の気化なら問題ないのだろう。

つまりカゲという記憶が自分に戻ったわけだからカゲは必要なくなり気化するのだろう。

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ヤン(シェン)は主人公の楽譜、オルゴールのおかげで記憶を取り戻したといっている。

つまり原想体を見せることで記憶を取り戻すカゲこそヤン(シェン)であったといえる。

しかし、それでもヤンは異質で主人公のカゲでありながらこれだけ動き回れる、順応度の高さは流石、他の機械も不思議がるわけです。

主人公の分身、ヤンが暗躍するほど、主人公に罪が重なっていき後半になると機械たちに怖がられるようになる。

それも自分であって自分でないシェンの仕業だったというわけだ。

そしてジュースというガラージュの世界では神格化されている機械でそのカゲは「プシケ」なのである。

彼女をこのように改造して生成装置にしたのもヤンの仕業である。

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記憶を取り戻したら最後にカゲと本来の世界を結ぶために「刻印石」なるものを探す。

カゲが刻印石を見つけると「パラドックスホール」が生まれ、世界(ガラージュの)とカゲ本来の世界(元の世界?)を結ぶ穴できる。

この穴を作る事こそカゲが唯一できることで本作をエンディングに導く手段でもある。

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ヤンはカゲだっただけに夢日記も存在するため内容を確認するとヤンは狂気の惨状を起こすまでが書かれている。

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白瓦斯屋年代記にはヤンのおぞましい計画書的な内容が書かれている。

そもそもなぜヤンは雌機械を解体して回ったのか。

カゲを狩っていたのか。

なぜか?

それはヤンがプシケに嫉妬していたのではないかと思った。

プシケ(ジュース)はヤンを越える順応度にカゲを見つける能力まで備えた特別な存在。

なまじヤンも順応度が特別高く、この世界では割と特別だったためだと考察する。

そのためまず全ての源を生成できる汚水を減らすことで蛙を取れなくしてプシケを弱らせる作戦ではないだろうか。

しかし、減少させすぎると自分の給油や順応度を保てなくなるので、仕方なく白瓦斯屋を設立。

少数精鋭で白瓦斯の給油と汚水の排泄をさせていた。

雄機械を始末しなかったのは雌機械の餌である蛙を釣らせたり、お店を運営させる力が必要だったからと考えると雄を始末しなかったことにも多少合点がいく。

ここまで書いて原想体と刻印石の違い辺りでこんがらがってきたので私の考察は終了。

世界観の解説にすらなっていなかったが私の考えを箇条書きで書き記しました。

みなさんはどう思いましたか?

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本作はスチームパンクやサブカルチャー、カルト的要素が好きな方は絶対にその魅力に取りつかれること間違いなし!

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精神世界、キャラクターのデザインもそうですが、蟹や蛙、ポスターなど奇形で異形な魅力的なデザインとなっています。

そして「田中トモノリ」氏によるハードコアパンクバンドをやっていたとは思えない不安にさせる音楽とSEも魅力的です。

プレイしたあと頭の中で何度も考察するが何も答えがでないモヤモヤ感は中毒のそれに似ている。

同じことをグルグルと求め続ける。

この世界に吸い込まれちゃうんだ。すいぃぃぃぃっと…

クリア後はもう一度プレイして各々の意味ありげなシナリオやセリフ回収もまた考察する要素やヒントが増えて楽しいですよ。

ヤンはこの世界を227周もしてるんだから1週や2週ぐらい余裕余裕!

本作世界観の構想

よく本作は3大歪みゲーとして「クーロンズゲート」や「バロック」と並び紹介されることが多い(私自身3大から収まらずもっとあるので紹介したくてうずうずしている)。

作場氏自身は「クーロンズゲート」と「moon」がガラージュ開発中に出て欲しくない意識していたゲームだそうで、クーロンズゲートとmoonの世界観はガラージュが見本となっているというより、その時期そういうカルトブームの中で同じようなことを考えていたライバル的存在であったと私は思う。

事実ガラージュの製作期間は半年だったところ、2年半かかっており、その間に上記2作品が発売される可能性もあったわけです。

では本作の世界観の構想はどこからきたものなのだろうか?

作者の一人である作場知生氏に視点を当ててみるとそれが少し見えてくる。

本作は機械工場的な世界観と建物が多く、まるで昔の工場内部を思わせるビジュアルです。

それは作場氏自身の実家がプレスマシン工場だったこともあり、本作で多く登場するプレスマシンの数々はこの少年時代の記憶が色濃く出ているのでしょう。

また作者自身ガラージュのイメージに最も影響を受けているのは少年時代の葛飾区の下請工場地帯だそうで、イメージとしては「つげ義春」の漫画「大場電気鍍金工業所」に近いそう。

作場氏はリアルガラージュ空間として「やなせの町中を走る林鉄」も紹介している。

世界観の本式としては1995年の個展「Puppet Room」がそのままゲームとなったということです。

ガラージュのパッケージデザインの「プシケ」の最初のイメージは1988年に描かれた「機械的な少女」というドローイングが元となっている。

作者自身この機械的な少女を実際に動かしてみたいといって加工機械を集め「作場金属製作所」なるものも作ってしまいその製作を行っているとブログで紹介されています。

ガラージュといい、自分のイメージを実際に動かしてみたいという願望で実際に行動できるのが作場氏の凄いところで常に勉強されて創作活動されており、自身のドローイング作品だけでなくゲーム、「HENGE」という写真アプリや自転車製作などあらゆることに挑戦している正にクリエイターです。

そんな凄い方だからこそ考え方も良く言えば独創的で悪く言えば危険思想、それは本作ゲーム内の設定だからでしょうが、ガラージュは犯罪者の内面のような世界観だと称しており、吐瀉物、排泄物、性交、暴力、遮断、排除、憎悪、嫉妬、寂寥、欲望、願望、諦め、善悪が等価だという絶対平等世界だが、それがいかに危険かも匂わせる。

しかし、作場氏自身も本作の製作に関わって、この世界観から2年ほど抜けられず苦しんだとコメントしており、私は少しホッとした。

やっぱり人間が作っているんだよなあと。

ガラージュの先に生まれた後日談

ガラージュのその後は上記で作場氏自身が500枚作成した「私家版」とは別に、ガラージュと同じキノトロープ開発で製作開始されたオンラインゲーム「世界の涯(せかいのはて)」があった。

世界観やキャラクターのデザインも再度作場氏が担当する作品であったが残念なことに1年の開発期間を経て開発中止。

世界の涯というゲームは婢「旅人」と「奴婢」と呼ばれる生体機械がペアで世界の涯を目指す作品。

プレイヤーは旅人か奴婢どちらかを選択して誰かと一緒にハンティングと採集をベースとして現実世界と魑魅魍魎が跋扈する精神世界を行き来するというもの。

ちなみに旅人のデザインは作場氏ではなく「チムリク@timtimrick」氏が担当。

理由は作場氏が服の絵を描くのが大嫌いなそうで、確かにガラージュでは服を着用したキャラクターは出てこない。

描けないというわけではないので「不思議の国のアリス」の表紙や写真アプリHENGEのメインビジュアルでも服をきた人物は登場する。

世界の涯の公式サイトもほぼ出来ていたそうです。

公式サイトでは「世界の涯」を作った架空の人物が作ったことになっており、その人物の長編手記がゲーム内容と連動して公開されていく予定だった。

手記は半分ほど完成しており、どのくらいのボリュームだったのか、神の視点的、人物?の記す言葉はどんなものなか気になるところです。

ガラージュは最初、作場氏の中ではRPG構想がありつつもアドベンチャーゲームとなった経緯があるので、世界の涯にはそのRPG構想のガラージュ的要素も盛り込まれていたのかもしれない。

そう思うと余計残念だが、それらの開発時の画像など作場氏のTwitterで公開しているので是非見てほしい。

しかし、その後もキノトロープと関わりがある作場氏。

キノトロープ周年記念には作品を依頼されたり、「HENGE」という怖くて面白い写真が撮れるアプリなどの開発に携わっています。

ガラージュも当初開発予定期間が半年だったのを2年半かけて開発した辛抱強さなどキノトロープとの信頼関係がないと成し得ない。

ガラージュはそんな綱渡り的奇跡の作品でもあるのです。

まとめ

私の本作プレイしての第一印象は「異形だけどみんな割と普通の喋り方だな」と感じました。

そう感じたからこそ言えるのが、ガラージュの世界は精神障害を治療する世界であり主人公のような好奇心で動き回れる順応度の高い機械は稀であり異常。

なぜなら精神障害は意欲を減少させたりするからだ。

主人公はもしかしたら精神障害でもないのにガラージュに乗り込んだのではないか。

それこそ好奇心で。

住人たちも元の世界に戻るためカゲを探す必要があるがそれをしようとしない。

自分の持ち回りの作業を行うのみ。

それも意欲減少ゆえの選択肢ではないだろうか。

だから住人たちは主人公を不思議に思ったり、怖がったりするのではないだろうか。

精神世界にも症状のランクがあり、仕事をしたり釣りに行ったりすることで、いわゆるリハビリを行え割と口調もハキハキしているものが軽い症状の患者。

病室にいるのは攻略していくとわかるが、あきらかに意思疎通ができなかったり、何らかの中毒者だったりもする。

軽い症状と言ってもガラージュで治療を受けているのだから、誰もが重い症状であるが、リハビリに成功したもの、悟ったようにこの世界に居場所を見つけるものそれぞれの考えでこの世界は動いている。

その中での不協和音、つまり主人公はこの世界をおかしくする存在だったのかもしれない。

それとどう立ち向かうか考えるかはユーザーに託されているように思う。

しかし、託されたユーザーは大変だ。

私もこの記事を書くことで何かに取りつかれたようにドッと疲れたりした。

達成感はなかった。

それよりも本作に触れたことで人生の悩みが一つ増えてしまった。

この世界からは戻れない。

だが世界観はやはり魅力的であり心に残る作品でもあった。

手放しに万人に進められるジャンルと入手難易度ではないので、せめて動画を観賞するか、私のブログが少しでも参考になれば嬉しいです。

それでは次もね~

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