【クーロンズゲート】奇ゲーの原点にして後の作品に大きな影響を与えVR世界の可能性すら予見させる異色の作品

人間意味が分からないものを恐怖し逃亡し中には心の弱さを隠すように憤怒するものもいる。

しかし、そんな中意味が分からないものに好奇心を抱き足を踏み入れる興味を持つ者いる。

そんな輩がそんな輩のためにいわゆる特殊性癖ってやつ?

今回紹介するレトロゲームはそんな独特の世界観が何とも表せないモヤモヤから奇ゲーとして新たなジャンルを確立し後の奇ゲーたちに大きく影響を与えたゲームです。

タイトル販売元開発元発売日フォーマットアーカイブス

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・クーロンズゲート-九龍風水傳-

ジャンルアドベンチャーゲーム

プレイ人数1人

・ソニー・ミュージックエンタテインメント

・ソニー・ミュージックエンタテインメント

・1997年2月28日(PS版)

・2000年10月5日(PS版:ベスト版)

・2010年4月14日(GA版)

・PlayStation(プレイステーション)

・有(プレイステーションストア)

本作のセールスポイント

・様々な奇ゲー作品に影響を与えた奇ゲーの原点とも言われる作品を味わえる。

・狂った世界観と風水による何とも言えない練り歩くワクワク感。

・アーカイブスには当時初回限定盤に付属していたブックレットデータも付いてくる。

ストーリー

陰界にあるべき九龍城が、陽界に現れたという。

香港の叡智を司る超級風水師たちは驚愕した。

陰の世界に、風水が見あたらない…

陰と陽が不用意に交われば、いったい何が起こるのか。

それが、巨大な邪をもたらすことだけは確かだ。

高位の風水師たちの結論はこうだった。

「誰かが陰界に風水を起こさねばならない。陰界に在る九龍城に赴き、四神獣を探し出し見立てを行うのだ」

困難で、危険極まりない任務。

しかし、絶対に失敗は許されない。

そして、ひとりの若く優秀な風水師が陽界から消えた。

「クーロンズゲート」説明書より

乗り込め九龍城、本当のパラレルワールドが目の前に広がる

本作プレイヤーが「超級風水師」という風水師と名乗っとけば良いものの超級を付けるところが少し中二病全開な主人公を操作し風水をただすために陰界の九龍城に乗り込む。

風水ということでそれぞれの方角を守る四神獣を探し出し「見立て」を行わなければなりません。

クーロンズゲートの世界は2つのダンジョンで構成されています。

それぞれ「探索パート」と「戦闘パート」に分かれています。

探索パート」は「JPEG(ジェイペグ)ダンジョン」と呼ばれる画像の拡張子のような名前のダンジョンというか「」が存在します。

「JPEG(ジェイペグ)ダンジョン」では人々が住み着き人々と会話しこの不気味な世界観を知ることとなります。

人々といってもただの人と思えない個性的?でかたずけられないこの世界では普通なのかそれとも異形の存在なのか。

水銀屋という時点で何かと今だと歴史上の事故や事件で引っかかりそうなワードであり、まるで水銀を全身に浴びたようなミイラ男。

少なくとも地球人の私たち、風水の本場中国でも今では違和感を感じるのではないかと思う。

戦闘パート」は「胡同(フートン):リアル・ダンジョン」と呼ばれる邪気に満ちた巨大な廃墟が舞台となります。

リアル・ダンジョン」は四神獣分の「重慶花園(チョンキンガーデン)」、「富善苑(フーシンコート)」、「庇利路(ベイレイロード)」、「沙角(シャーコック)」と呼ばれる4本が存在します。

「リアル・ダンジョン」では「鬼律(グイリー)」と呼ばれるモンスターがはびこっており主人公を襲います。

鬼律は普段見えませんが邪気が駄々洩れなため近づくとピンク色に歪みエンカウントとなります。

本作敵を倒すという表現が「邪気をうち払う」という何とも風水らしい戦闘システムとなっています。

本作戦闘システムを理解する上で「木火土金水(もっかどごんすい)」といわれる呪文のような邪気の相克関係を知る必要があります。

「木火土金水(もっかどごんすい)」の5つの属性を鬼律の射出することでバトルで勝利することができます。

それぞれ鬼律によって不得意な属性を見極める必要があります。

また鬼律が纏う邪気を吸収することでもバトルに勝つことができます。

クーロンズゲートの楽しみ方教えます!

本作説明する上で難しい漢字が多いのでなるべく説明を交えて紹介していきます。

なぜかというと本作「風水」がテーマとなっており何だか上海な読み方が多いため一見どんな意味かが分からない。

しかし、その何とも言えない当て字のようなものが本作の不気味な世界観をより引き立ててくれる。

世界観を楽しめ!

クーロンズゲートはそのカルト的世界観から未だファンが多い作品だが上記でもあるようにダンジョンパートは雰囲気としては大したことはない。

ただただ白い壁のダンジョンを練り歩く。

本作あえて戦闘システムはあるものの「アドベンチャーゲーム」と銘打ってのはそのアドベンチャーパートの充実度によるところが大きい。

アドベンチャーパートの充実度が評価が高い本作なだけに2017年10月26日にVR作品「クーロンズゲートVR suzaku」が20年の時を経て発売されるほどです。

アドベンチャーパートで移動の際カメラワークが揺れ動くのは当時からVRを予見していたかのような主人公の目線や方向転換による態勢を考慮したにくい演出ですね。

またクーロンズゲート上に存在するネットワーク「クーロネット」は当時は時代の先駆けとしてインターネットを使った演出。

郵便ポストがクーロネット端末へと繋がるなんて粋なデザインですね。

このいかにも関係なさそうなものに重要な情報が隠されているというマイノリティ感!

アクセスすると一昔前の広告だらけの掲示板のようなアクセス画面。

このアクセス画面からは「電子メール」、「データベース」、「案内屋」、「リゾーム」、「ハッピーアワー」、「生体通信」にアクセスできる。

電子メール」はIDごとに見れるメールが変わります。個人メールを覗くのは悪いことしているようでちょっとワクワクしますね。

電子メールには重要な物語の攻略のヒントも隠されているのでとても有益なものです。IDカードを手に入れたら覗きの楽しみついでにチェックしましょう。

データベース」はクーロンズゲートの世界観を知る上で重要な情報源です。

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案内屋」リアルダンジョンに挑む際のナビを雇うことができます。

見た目だけだと地獄への案内屋にしか見えません。

リゾーム」はクーロネットの会員たちのチャットに参加することができます。

こちらも電子メール同様有益な情報源ですので異形の者たちとのおしゃべりを楽しみましょう。

ハッピーアワー」は広告チャンネル。アフィリエイトチャンネルで今だったら一発で摘発されそうな怪しい商品を取り扱うチャンネル。

生体通信」呪術的通信手段として使われる特殊な通信方法だがいかにも精神に来そうな通信手段であり保証はないぜ…

といったようにインターネット創成期の怪しさ全開のウェブサイトデザインがなぜか今になると懐かしさでノスタルジックな雰囲気が出ていてこのデザインはインターネットが発達した今だからこと余計新鮮に映ります。

個性的というには異形の人々?

この世界観を支えるのは街並みやシステムだけではない。

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そこに暮らす人々全てがスターウォーズのような別種の集まり…いやもっと生き物の集まりというよりかは異空間など別次元から現れたような正に風水というなの呪術的何かから生まれたようなキャラクターたち。

唯一まともに見えるのは「小黒(シャオヘイ)」くらいであろう。

親切に情報を教えてくれたり意外と普通に接してくれるところもありつつ生い立ちや言動や口調はどこかおかしい…

そこをくみ取るなんて到底できない分かり合えないでも裏設定などを考察してみたくなる。

そんな独特の訳あり感がたまらないのだ。

雰囲気ゲー、キャラゲーと言われても良い。この世界観を楽しむだけのゲームとしても充分価値ある作品であり、楽しみ方としてオススメしたい魅力です。

1997年から1999年のオカルトブームと奇ゲーに与えた影響

1997年から1999年にかけて社会現象となったオカルトブーム。

その大きな要因となったのは恐らく「ノストラダムスの大予言」だろう。

「ノストラダムスの大予言」15世紀に実在した占星術師による予言の一部で端的に言えば「1999年7月人類は滅亡する」というものだった。

この大予言に感化されて様々なオカルト本やテレビの特集などが組まれた。

大予言を受けて信じて怯えるもの、そんなはずないと楽観的にオカルトブームを楽しむものそれぞれが1999年7月を待った。

オカルトブームはゲーム業界も例外ではありませんでした。

奇ゲーの発売日を調査するとだいたいがこの期間に発売されている。

本作「クーロンズゲート」はその中でも特に先駆者としてその後の奇ゲー作品に大きな影響を与えました。

奇ゲー作品の一部

・バロック(1998年5月21日)

・LSD(1998年10月22日)

Serial experiments lain( 1998年11月26日)

・ガラージュ(1999年)

・GERMS-狙われた街-(1999年7月22日)

ガラージュ」に出てくる主人公とよく似たデザインも所々で出てきます。

頭から目の部分。

口のマスク。

この二つを合わせるとガラージュの主人公によく似ています。

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チラシの掲示板やネットワークデザインなど雑多な雰囲気も非常に影響を受けています。

まとめ

奇ゲーと言われる分野はプレイステーションに非常に多い。

それはタイトル数が多いことと比例して実験的な作品が数点なりとも世に出たからです。

しかし、現代では倫理に触れる部分も多くこれらを表現して市販すること、もちろん製作しても売上が見込めないであろう要因もあります。

そのため奇ゲーと呼ばれるものは現在では主にフリーゲームやインディーズゲームなど企業などブランドイメージとは別の場所でひっそりと生まれ続けている。

たまに動画サイトで奇ゲーがバズるのはそんなオカルトブームを経験しなかった人の潜在意識の中に当時オカルトブームを感じた人々と同じ何か不思議な感情を感じずにはいられないからだろう。

だからこの作品は時を超えて今も多くのファンを作り続けているのかもしれません。

ちなみにクーロンズゲートVRの前に10周年記念でクーロンズゲート開発スタッフ製作した「Second Life」は本作の世界を自由に移動することができるゲームがあります。

開発スタッフはVRといいかなりこの作品に愛着があるようで次30周年は何が飛び出すのか期待してしまいますね。

本作アーカイブスは初回限定盤に付いていた108Pのブックレットデータも付いているためアーカイブスを購入してもその世界観を存分に味わえるのでおすすめですよ!

ソニー・コンピュータエンタテインメント 1997年2月28日

それでは次もね~

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