海底は静かで不気味なところ水圧は高く、限られた生物しか生息できないだからこそとても静かな場所。
海底は古来より未知の領域であり普段の浅い水深には出現しなくたまに姿を現し襲い来る「怪獣」や「クラーケン」など巨大生物の存在で恐れられた海。
そんな静かな海底でドンパチ戦争を起こそうという輩がいる。
海という陸より面積が圧倒的に広い場所で行われる戦争。
その世界規模の戦争を時代の証言者はこう呼んでいる「海底大戦争」と。
昔の特撮みたいなタイトルですが今回紹介するレトロゲームは飛行物体が主役ではなく「浮遊物体」である「潜水艦」が主役のなかなか珍しいシューティングゲームです。
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・海底大戦争
ジャンルシューティングゲーム プレイ人数1~2人・エクシング・エンタテイメント(PS版)
・イマジニア(SS版)
・ゲームバンク(PC版)
・アイレム株式会社
・1995年11月10日(PS版)
・1995年12月15日(SS版)
・1997年3月(PC版)
・2019年11月21日(PS4版、NSW版:アーケードアーカイブスで配信)
・PlayStation(プレイステーション)
・SEGA SATURN(セガサターン)
・Microsoft Windows 95
・PlayStation4(プレイステーション4)
・Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)
・有
・PS4版、NSW版:アーケードアーカイブスで配信
・ジャンル内では珍しい「潜水艦」によるシューティングゲームでその性質を活かしたステージ構成やシューティングアクションが楽しめる。
・「メタルスラッグ」で手腕を振るったドット絵職人が手掛けた超ウルトラスーパークオリティのグラフィックは息を吞むほど細部まで作り込まれている。
・特に水中での水圧で変化する衝撃や爆発、ミサイルなどの移動速度などが非常にリアルで水圧による重力感や浮遊感がたまらない。
ストーリー
現在から手の届く未来。ある紛争地域において使用された新型局地戦用磁力兵器が引き金となり、地球規模の地殻変動が起こった。
世界の3/4が水没、総人口の80%が失われる大惨事となったのである。
海と共に生きることを余儀なくされた人々は、それでもたくましく復興を始め、海洋を中心とした生活圏を形成し、新たな歴史を刻み始めたのであった。
混沌たる荒海を守るため、国際海洋警備隊も設立された。
O.C.(海洋歴)93年。突如として世界にミサイルの雨が降り注いだ。
海洋警備隊による調査の結果、再び世界を混沌の渦に巻き込まんと暗躍する悪しき組織「D.A.S」の復活が明らかになった。
しかも彼らは、94年前に大惨事を引き起こした磁力兵器「人類掃討システム ユグスキューレ」を発動させてしまったのだ。
そして、南極で新型潜水艇のテスト中であった2人に緊急出動命令が下った。
海底大戦争説明書より
アイレムが挑戦し続けるテーマ「潜水艦シューティング」
シューティングゲームと言えば飛行物体、もしくは飛行能力を持った人が機体として登場し画面を縦横無尽に駆け回るのだが本作は少し違う。
「潜水艦」が機体という事もあり移動は全て水中限定という非常に珍しいシューティングゲームです。
ゲームのジャンルとしては珍しいものを扱っているのですが開発会社の「アイレム」は度々潜水艦を題材にしたシューティングゲームを発売しており「アイレム」にとっては当たり前にずっと挑戦してきたテーマであり、その都度私たちに進化を見せてくれました。
本作の原点とも言われる「スクーン」といわれるファミコンで発売された本作と同じ横スクロールシューティングゲームです。
「スクーン」は海底都市に囚われ人々を救う(スクーンだ)と掛け合わせたものでありシューティングで敵を倒しながら救助した人を母艦に届けるという「シューティング+救助」という「絶体絶命都市」などで救難救助ゲームで知られるアイレムらしいテーマが昔から取り入れられている。
そして本作の「海底大戦争」は救助活動の要素はないものの純粋なシューティングゲームとしてグラフィックやステージ構成などが圧倒的に進化した作品として再び帰ってきた。
その圧倒的なドットグラフィックとスクーンでは水中の敵のみだったが本作は水中外からも敵が存在し攻撃を放ってくる。
本作は水中の脅威と地上の脅威、空中の脅威を考慮した攻略が必要となってきます。
その水中、地上、空中の脅威の要素を残したまま3Dとして進化した作品が後のPS2で発売された「-U- underwater unit(ユー・アンダーウォーターユニット)」であり、「3D版海底大戦争」と言われています。
南極から海底へ映画級のロマン大戦争
本作は自機潜水艦、開発コード「グランビア(ハイドロ・フォビア・グランパス)」を操作して戦います。
グランビアは1P側の雌型である「グランビア・フィメール」と2P側の雄型である「グランビア・メール」が存在します。
ちなみに雌・雄と分かれているのは搭乗するキャラクターによるものです。
搭乗するのは1P雌側が主人公の「高原麗」。2P雄側がその夫である「高原仁」が搭乗しています。
「高原」と聞いて「ん?」と思う人いるでしょうか?
普通はなかなか気づかないですがアイレムファンなら周知の事実。
「高原麗」の夫「高原仁」はスーパーファミコンで発売したベルトスクロールアクションゲーム「アンダーカバーコップス」に登場する「ザン・タカハラ」こと「高原斬」の実兄にあたります。
また自機である「グランビア」は名作シューティングゲーム「R-TYPE」を異色のタクティクスゲームにした「R-TYPE TACTICS II -Operation BITTER CHOCOLATE-」に登場します。
この世界観が繋がっている演出好きだなあ~
ステージは全6ステージ構成となっており、自機の残機が0になればゲームオーバーとなります。
スクロールは従来のシューティングゲームとは違い一部ステージを除き横スクロールアクションのように任意でスクロールする方式となっています。
グランビア武装
本作は自機が潜水艦ということで水中と空中の敵を狙い撃つための動作が変わってきます。
水中では前方を「魚雷」、下方を「爆雷」で攻撃を行います。
そして上方の「機雷」ですが水上の敵を攻撃するには水面から潜水艦の顔をひょっこりさせる必要があります。
水中からだと海面で爆発してしまうため飛行物体などに攻撃を当てることはできません。
魚雷は単独ボタンで発射されますが機雷と爆雷のボタンは共通の為同時に発射されます。
この辺りも潜水艦の性質を上手にとらえて構成されたシステムであり他のシューティングゲームとの差別化がハッキリとされており個性となっています。
もちろんシューティングゲームならではの武装パワーアップ要素もあります。
・魚雷
通常魚雷:グランビアの前方攻撃標準装備。連射力と破壊力が強く、一直線に飛んでいく一点集中型の武器。
超音波魚雷:螺旋状の超音波振動波を発生させる魚雷。広範囲の敵にダメージを与えることができ、振動波付近の敵も吸い込んでダメージを与えることが可能。
クラッカー:自機前方で炸裂し、強力な弾幕を張る魚雷である。狭い所で威力を発揮する。
・機雷、爆雷
通常ミサイル:グランビアの上方攻撃標準装備。海上では追跡ミサイルを撃ち、水中では垂直にミサイルを発射する。
爆雷:グランビアの下方攻撃標準装備。方向ボタンの操作で投下方向を変えることができ、パワーアップすると連射力が増加する。
サーチミサイル、アッパーミサイル:海上では敵を自動追尾するサーチミサイルを発射し、水中では垂直にミサイルを発射する。
高射砲、フロートマイン:海上では方向ボタンの操作で発射方向を変えることができる高射砲を発射し、水中では浮上して海上に設置される浮遊機雷を射出する。
世界中が水没した世界では元地上の名残が残る
ステージ1:南極
ダイヤモンドダストでさえ凍てつく極寒の南氷洋から航海は始まった。
私の前に立ち塞がるものは誰であろうと容赦はしない。例えそれが「世界」そのものであったとしてもだ。
ステージ2:復興の都市
太古より続く脳天気な青く抜けた空のした、悲壮感の欠落した阿鼻叫換の地獄絵図が展開する。
土くれと化す町並み、逃げ惑う人々。
CO2ガスレーザーが飛び交う中、炎を浴びて私は強くなる。
ステージ3:地球鎮守府
彼は失われた時間の深淵から這い上がってきた。
オリハルコンインゴットの降りしきる、朽ちた神殿を震わせて雄叫びが聞こえる。
水中庭園のペントハウスで防人VS潜水艇の血みどろの戦い。
ステージ4:亡霊都市
沈黙したはずの前時代の自動報復システムが突如始動を開始する。
水中の墓標と化した高層ビル群を打抜いて、レーダーに浮かび上がるプリップ(光点)を追う。
煌々と照明灯が灯るなか、分断された水中のスタジアムで、魚雷によるプレイボールが告げられた。
ステージ5:超深海2000m
耐圧船殻を軋ませる超水圧に、ねっとりとした漆黒の闇が溶けている。
永遠に光の届かない世界に生息する、全長60mの竜宮の使いに引導を渡し、ダウントリム最大で海神の寝台(ネプチューンベット)へ。
私は核魚雷を抱いて大海の主との会見に赴く。
ステージ6:VS人間掃討システム
私の耳に飛び込んで反響を繰り返すスペクターノイズ。その発生源がここだ。
深海に横たわる機械のはらわたの中で巨大な敵影が歪む。
それは94年前、世界を水没させた狂気の磁力兵器。
エンディングは4種類存在しそれぞれコンティニューの有無や協力プレイなどの攻略条件で変わってきます。
どのステージも沈没してしまった文明の名残を残した古代文明のように神秘的であるが沈没してから100年も立っていないため人類とって昨日あったであろう自分たちの帰る場所の残骸をまざまざと見せられている。そんな感覚でしょうか。
まとめ
本作はファミコンの「スクーン」から時は経ち再度なぜかアイレムが挑戦に乗り出したのだが「-U- underwater unit(ユー・アンダーウォーターユニット)」のアンケート応募のプレゼントの潜水艦映画もそうだがアイレムには潜水艦マニアでもいるのだろうか?
「海底大戦争」も「千葉真一」主演の同名映画があるから絶対それからタイトル借りているだろう!
それともイギリスで制作されたサンダーバードみたいな人形劇の「海底大戦争 スティングレイ」か!
どちらにせよアイレムには潜水艦ゲームに挑戦する並々ならぬ何かがあるのは間違いないだろう。
その証拠に本作は2D潜水艦シューティングゲームは極めたのではと思う程の完成度で私にとってもお気に入りの作品となりました。
上の画像なんか破壊した時の木材のバラバラ感や魚雷・爆発などの水しぶき水圧の表現、敵機の作り込みや背景など凝り性の極みのような変態グラフィック!
「3D版海底大戦争」と言われる「-U- underwater unit(ユー・アンダーウォーターユニット)」をもう少し次世代機で進化した新作が出ないかな?
そうすればアイレムは名実ともに潜水艦シューティングゲームの最高峰に到達するような気がします。
ちなみにセガサターン版はバグ修正前だとセガサターンの初期型以外で動かない不具合があるので購入の際は気を付けられたし。
移植度という意味でアーケードゲームは家庭用に移植の際クオリティダウンやバグが多くあったりモード削減が多々あるのが毎回残念です…
それでは次もね~