天上から見下ろす黒い影。
人間の残飯やゴミを荒らすのその様は正にケダモノそのものだが人間がそこに残飯を入れるということを熟知している知能犯でもある。
その黒い影は「カラス」天上より見下ろし人工のものを狩場にする特異な生物。
その知能犯的頭脳や真っ黒な風貌から神話でもよく語り継がれるいやしくも神秘的な存在として太陽や神の使いとして古くから存在する。
そんな宗教的観点や地上と天界の関係性を何とも不気味に描いたシューティングゲームが今回紹介するレトロゲームです。
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・カラス(KAROUS)
ジャンルシューティングゲーム プレイ人数1人・マイルストーン
・マイルストーン
・2006年11月(AC版)
・2007年3月8日(DC版)
・2008年4月10日(Wii版:マイルストーンシューティングコレクション カラスWii)
・AC(アーケード)
・Dreamcast(ドリームキャスト)
・Wii(ウィー)
・無
・「ラジルギ」で用いられたトゥーンレンダリングはアニメ調ながらも立体感があるグラフィックへと進化。
・シューティングゲームに成長要素や特殊攻撃の連発のしやすさなどを追加することで成長ごとに爽快感が増していく新システム。
・白黒が基調の世界観ながらも重厚感漂う世紀末感が味がある。
ストーリー
とある宇宙、とある地球の物語。
天界に浮かぶ大陸は、核戦争から復興した地上、レデンを見下ろしていた。
天界の人々、フラァにとって地上は、忌むべき存在だった。
ヒト、と呼ばれる地上人達はその貪欲な文明の手を天界に伸ばしつつあった。
ヒトとの大戦で両親を失った少女、カラスは、父が遺した言葉、「神の血」を求めて地上を目指す。
ーカラスはまだ知らない。
神の血とは何かも、天の地の繋がりも、そして、両者族間で進行する忌々しい計画も…。
「カラス」説明書より
ラジルギで培ったトゥーンレンダリング要素と独自要素を合わせて昇華させた
「カラス」は「ラジルギ」で発案した3Dをアニメ調に表現する「トゥーンレンダリング」を用いて制作されたマイルストーンの新作。
ラジルギでも裏設定的にはダークな世界観が広がっていましたが本作ではタイトル、世界観、デザインが全体的に暗めで何とも言えない後味の悪さを演出しています。
そんな新作「カラス」はラジルギの世界観を変えただけではありません。
本作の新要素として「レベルアップ」による成長要素が追加されました。
ラジルギでもおなじみ「ショット」、「ソード」、「シールド」は本作の主攻撃でもありますが今回はこれらを経験値を獲得することで強化することができます。
ラジルギの「アブゾネット」にあたる特殊攻撃として「D.F.S.」という名前で本作に登場。
「D.F.S.」を使用するとフィールドが発生し敵弾をかき消したり、接触した敵にダメージを与えると同時に「D.F.Sワーム」を寄生させることができます。ワームが寄生した敵は中心部が点滅し、この状態の敵を倒すと良い経験値チップを入手できます。また、アイテムを吸い寄せることもできます。
今回は結構ガシガシゲージが溜まるので特殊攻撃を連発することができ爽快感が味わえます。
攻略で重要になるレベルアップ要素は「D.F.S.」で敵を素早く全滅することで多くの経験値を得られるのでゲージを気にしなくて良い本作はどんどん使用して経験値も爽快感も同時にバリバリ稼いじゃいましょう!
その他の機能やアイテム自体はラジルギと大きく変わりません。
それよりもこの世界観を楽しもうじゃありませんか。
ラジルギではどうもダークなのか違うのかモヤモヤした世界観だったので、ここまで暗い世界観だと逆に分かりやすい。
キャラクター、世界観ともに黒を基調とした徹底したカラス感
ストーリーを見ると地上人と天界人が存在する世界で地上人が天界を目指す。
まるで今の地球から解き放たれ宇宙へと向かう人類のようです。
でも宇宙の移住先にはもう先に別の生物、本作でいうところの天界人が暮らしている。
しかし、地上人はそんな事情も知らずに天界を我がものにしようとしている。
そんな地上人と天界人のハーフである主人公の「カラス」は両人族の懸け橋となるのかそれとも…。
本作でも相棒のメカニックはやはり「相田タダヨ」のような風貌の「シギ」がサポーター。
ラジルギでもそうだが主人公とメカニックが何で親友設定なのか毎回分かりにくく世界観・設定同様に謎を秘めた部分多いマイルストーン作品。
尖っている割には結論を出しゃばらずユーザーに委ねるもとい丸投げ?感があるがオタク受けは良さそう。
なぜならはっきりしていないシナリオと伏線だらけの設定、見た目とギャップのある世界観は同人作品で多く見受けられるミステリーやホラーの類とよく似ているからだ。
ステージ構成は全5ステージでハードモードかつある一定条件を満たすことで真のラスボスが出現する。
相変わらずの電波マシマシのオブジェクトデザインと間でちょこちょこ挟まるメールなどのインフォメーションは健在です。
やはり目を見張るのは前作とグラフィックの繊細さについてはそう大差はないものの動きの滑らかさと動作の細かさが大きく違う印象を受けました。
何というか関節が増えてより動くようになったという感じですね。
普通のフィギュアから関節有りの「figma」になった感じ?60fps?
ステージ1:第46フロゥト上空
ステージ2:第22フロゥト上空
ステージ3:ニンゲンの空との境界線(イージーモードはここまで)
ステージ4:マシマナマ上空
ステージ5:未確認フロゥト内部
ハードモードでプレイかつある条件を満たすと真のラスボスが出現します。
全体的に白黒で暗いイメージトゥーンレンダリングのおかげで背景に同化することなく存在感あるボスの数々。
これはトゥーンレンダリングの良さがこのデザインを可能としラジルギでの挑戦が花を咲かせた瞬間ではないでしょうか。
個人的にはアーマードコアの「ホワイト・グリント」っぽい配色でシンプルながらかっこいいデザインで気に入っています。
まとめ
システム自体は大きく変わらずその世界観だけ変わると言うまるでノベルゲームのようなシューティングゲームとしては一歩間違えば致命的となる内容です。
シューティングゲームでリリースの度に求められる新規の繊細なグラフィック。
途方もない努力と執念で制作された作品はユーザーをその都度驚かせてくれます。
トゥーンレンダリングはラジルギでは明るい発色でポップで電波な世界観、カラスでは灰色と暗めでダークな世界観を表現しています。
トゥーンレンダリングはその3Dグラフィックを平面でシンプルにしているだけにちょっと変化を加えれば世界観を自由自在に操ることができます。
キャラクターもシンプルですがそのデフォルメな表情の変化は変にリアルよりも表現豊かでユーザーの心を掴みます。
それだけにダークな世界観とのギャップがより大きなものとなり正に空を切るような喪失感とモヤモヤに支配されるのもこの作品の魅力でしょう。
マイルストーン作品は各作品ごとに別の世界観や設定が繋がっているものもあるので繰り返してサイクルで全体をプレイすることでより深く見えてくる作品群です。
本作のステージ4のボスなんかは完全に「相田タダヨ」だろ…
なのでWii版の「マイルストーンシューティングコレクション カラスWii」、「マイルストーンシューティングコレクション2」やXbox360版の「サクラフラミンゴアーカイヴス」などはそれらを複数収録しているので世界観を繋げる手助けとしてもお得感的にもオススメです。
続編として3DS「karous the beast of re eden」も発売されておりラジルギ同様移植も多く大変息の長い作品です。
それでは次もね~