大注目作品で大ヒットで大名作のゲームを今更アーカイブス、リメイクするメリットはそう多くないだろう。
せいぜいプラットフォームが新しいゲーム機でプレイできる(実はかなり重要だけど)ぐらいであろう。
本当にアーカイブスで望まれる作品はブームこそ起きないがゲーム玄人が影で自分だけ価値がわかるとほくそ笑んでいたゲームに違いない。
時は経ち玄人たちがこぞって絶賛するそのゲームが再評価の波に飲み込まれると途端に市場からそのゲームの姿は消え市場価値も上がっていく。
そんなゲームを再配布を行う波こそ巷で流行の「ガチャ」や「DLC(ダウンロードコンテンツ)」よりもゲームの未来を担う若者が創造性に溢れた「ゲーム」を触れる機会を与え、同時にビジネスチャンスとなりえないだろうか。
このままだと近い将来ゲームは保険や銀行のようにお金集めをするだけの手段として創造性の欠片もないものになってしまわないだろうか。
そんな隠れた名作をアーカイブスにいつでもなって良いように今回紹介するゲームは世界最高峰の頂を目指す登山シミュレーションゲームです。
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・蒼天の白き神の座 GREAT PEAK
ジャンルシミュレーションゲーム プレイ人数1人・ソニー・コンピュータエンタテインメント
・パンドラボックス
・1998年7月16日
・PlayStation(プレイステーション)
・無
このゲームはシミュレーションというだけあって自然界の運の要素も付きまといます。
準備しなければ当然頂に立つことはできませんし、準備したからといってタイミングが悪ければ大自然の驚異に一瞬で喰われてしまいます。
そんな濃厚なロマンとロマンの中にある自然界の厳しさ、一瞬で何もかもなくなる儚さ、それでも挑み続ける者たちの物語をあなたの手で作ってください。
・プロの登山家・探検家監修の元、練り上げられたリアルなシミュレーションゲーム。
・実写を使用することでより冒険への感情移入が高まる演出の数々。
・自然の厳しさを痛感し投げ出したくなるような難易度とそれに負けないはまる攻略要素をゲームシステムで再現。
ストーリー
世界最高峰のK-0をはじめ、未踏峰の山々がそびえ立つカムコルス山脈。
世界中のアルピニストたちが、いつかは必ずその峰々を征服したいと願っていた。
だが、カムコルス山脈のあるウルムンド共和国は鎖国状態であったため、他の国の人間が領土内に入ることすら許されていなかった。
多くのアルピニストたちはどんな険しい山を登り詰めようと満たされない思いでいっぱいだった。
「誰も登ったことのない山に自分の足跡を刻み込めるのに……」。
ジュマヌプチュの山頂はすぐそこであった。だが、止むことのない強風の前に我々は身動きも取れず、キャンプ内に閉じ込められたまま時間だけが過ぎていった。隊員たちの体力は限界に達しており、食料も底をつきはじめていた。
選ぶべき道はそう多くはない。隊長である私が、「撤退」という言葉を発すればいいだけであった。その決断を下したとき、自らの登山活動にも終止符をうつことを決めた。
ジュマヌプチュ敗退から半年後、登山界を揺るがす事件が起きた。ウルムンド共和国の国際舞台への復帰である。いよいよ、人類に残された最後の聖域が開け放たれたのだ。カムコルス山脈の登山申請を私の最後の仕事とし、新たに就任した若い隊長にすべてを一任した。
私は、誰も足を踏み入れたことのない山々に挑む若い力を見守っていくことにする。
蒼天の白き神の座 GREAT PEAK説明書より
準備とタイミングが全ての攻略の鍵
本作は登山前の「計画モード」と実際の登山を行う「作戦モード」に分かれています。
計画モード
まず登山を行うにはチームが必要です。
もちろん単独で登頂された凄い冒険家の方もいらっしゃいますが、その人だって計画実行は専門家などを交えて綿密に計画を練って登頂に挑みます。
登山にとってチームは必要不可欠です。そのためまず最初は一緒に登る「隊員の募集」を行いましょう。
隊員のランクは「E」からさかのぼるごとに評価が高い。
経験豊富な優秀な隊員程年齢は高く、若いほどランクは低いが伸びしろがある。
最初は優秀な隊員でゲームの雰囲気やコツを掴んでも良いだろう。
しかし、このゲーム上手くなればなるほど隊員一人一人に感情移入してしまうため生死の境をそんなに安直に決められなくなってくる。
実写のグラフィックも相まってよりリアルに隊長として隊員一人一人を引っ張っていく、そんな使命感にもかられていくのがこのゲームの不思議なところだ。
そういう意味で登山家の三浦雄一郎さんは80歳でエベレスト登頂なんて当時では考えられなかったでしょう。
しかし、皆がそうなれるわけではないのでやはりこのゲームの年齢や引退目安は監修に基づいた妥当なものなのかもしれません。
作戦モード
新規隊員を募集したらついに登頂への作戦に入る!
何はともあれ登る山が決まらないと始まりません。
登頂する山ごとに難易度がありもちろん標高の高さや斜面が急なものは難易度が高い。
しかし、難易度を決定するものはそれだけじゃない。
それは「ベースキャンプの設置場所」と「登頂時期」の設定です。
ベースキャンプの設置場所によって登頂斜面が違うため登りやすさが変わってくる。
年中雪に覆われた雪山に登頂時期なんて関係あるの?
これが大ありなんです!
冬の季節でも天候が荒れる時期と穏やかな時期が存在します。
雪山の登頂は一見雪があるから登頂困難だと思いがちですがその実雪は後付けです。
斜面が急でさらに雪があるから足場や地場が不安定。地割れが雪で隠れるから危険。天候が不安定だから常に注意を払わなければならない。
吹雪で景色を覆い隠し方向感覚を失わせる。
雪が危険を覆い隠す脅威が雪山の本当の怖さです。
本作はリアルな監修に基づく作品のため難易度は非常に高いものになっている。
そのため危険を選ぶも少々危険を選ぶも自分次第、このゲームに決して簡単な難易度はありません。
仮に一度クリアできたとしても再度挑戦してあっさり失敗なんてこともあります。
いざ登頂へ!
最終的な登頂目標まで数々の困難があります。
ルート探索を行い安全の確保。ルート工作で道を切り開き。ルート決定。
移動先に荷物を運搬、ベースキャンプを設営。
この繰り返しで山頂を目指すがいつも通りこれら全てが行えないことの方が多いです。
ルート探索を行うも良いルート発見できず、ルート工作を行うも思わぬ難所で隊員に被害が出たり、ベースキャンプの設営を間違えると運搬や捜索隊員の機関などに不備が生じたりと一筋縄ではいかない。
そればかりか気象情報も絡んできていていくら隊員の調子や能力が優れていても自然の驚異であっという間におじゃんになってしまうことも珍しくない。
道中は落石や雪崩、低温凍傷や滑落など地表、雪、気温、気象全てが味方となるものは自然界に存在しません。
信じて指揮するのは隊の仲間たち。どんな時も味方な彼らと共に自然に打ち勝ち登頂を目指します。
何事にも代え難いこの瞬間のために
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うおおおおおおおおお!!いええええええええ!
この瞬間のために今までがあったんだ!
ようやく登頂できた時の感動は他のシミュレーションゲームではなかなか味わえない非日常体験です。
登頂成功時にムービーが入るのですがその際隊員が無線で登頂の喜びを感動を味わった時自然と振り絞られたセリフ「ありがとうございます!!」の生声が心に響きました。
心底達成感を味わうとここまでこられた過程や思いが一気に溢れてくるのでしょうね。
登頂を成し遂げたら終わりではありません。
安全に帰還するためにベースキャンプに戻り始めてミッションは達成されます。
帰るまでが遠足ですよ!
まとめ
本作はとにかく地味だが、雪山登山の実態については全てにおいてリアルが存在する。
リアルすぎて途中で投げ出してしまう人も多数いると思います。ですがゲームは何度も挑戦することができます。
少し難しいからといって投げ出すのにはとても惜しいゲームです。
何とか一つ目の山を登頂してください。その時あなたの心には「やっと終わったやめられる」ではなく「次の山はどう攻略しよう」に変わってあなたの新たな目標となること間違いないでしょう。
このゲームのパッケージで説明書とは別に登山家である「八木原圀明」の寄稿による小冊子が同梱されている。
この小冊子の内容については購入した際に確認して欲しいのですが最初呼んでいる最中に八木原さんは実体験かゲームの内容を語っているのか分からなかった。
それぐらい本作の内容はリアルに近い再現度であることがこの小冊子からだけでもひしひしと感じてくる。
それでは次もね~