デジタルをかける物語。
時をかけるとはまた違い、脳の信号とデジタルで使用する自分のアバターが再現されデジタルとの意思疎通を図るという設定が多い。
本当にアバター無しで身体、本体ごとデジタルの世界に転送させることは現実世界への転送はまだしもデジタルとなると実現不可能なのではないか。
もしかしたらブラックホールから帰ってくるより難しいことかも。
異世界転生のように物理的転送ではなく、デジタルのデータ世界に生身の身体を転送なんて想像つきませんね。
物理データを数字に変換してアバターを作るなら分かるのですが、本当の肉体が現実とデジタルを行き来するのはやはり色々おかしい。
今回紹介するレトロゲームはそんな変な現象をデジタルの世界に呼ばれた少年とデジタルのモンスターたちが繰り広げる壮大な冒険育成RPGです。
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・デジモンワールド
ジャンル育成RPG プレイ人数1~2人・バンダイ
・バンダイ
・1999年1月28日
・2001年7月26日(ベスト版)
・PlayStation(プレイステーション)
・無
・デジタルモンスターの育成要素の楽しみを残しつつ、冒険要素も追加したデジモンゲームの究極体。
・マップ景観が綺麗でデジモンワールドという世界が主役な壮大感。
ストーリー
自然とデジタルの融合した不思議な世界、デジモンワールド。
様々なデジモンが共存しているファイル島で、あるときを境に「心」を失ったデジモンたちは言葉も通じなくなり、街を離れていってしまったのです。
「デジモンワールド」説明書より
デジモンとは
「デジタルモンスター(通称デジモン)」は1997年6月26日バンダイから発売された「戦うたまごっち」がコンセプトの携帯ゲームとして発売されました。
「たまごっち」の育成要素に加え育てたモンスターでバトルができることが大きな特徴。
「たまごっち」のキャラクターデザインは可愛らしく女性にも大人気だったがデジモンはデジタルモンスターという新しいジャンルやその硬派でかっこいい見た目から男性ファンが多く、後にカードゲームやアニメ、マンガにテレビゲームなど様々なメディアミックス作品として派生していきます。
中でも「デジモンアドベンチャー」はアニメ第一作目にしていまだに語り継がれるほどの名作となりました。
その反響から「デジモンアドベンチャー」は映画化や主人公たち未来の物語を描いた続編などが製作されています。
私も小さい頃「デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム」に衝撃を受けました。
特に「オメガモン」のカッコよさと完璧なデジモンデザインに惚れ込みました。
劇場版を見た後に映画館に置いてあった「デジモンカードゲーム」の最新版にオメガモンが収録されており、どうしても欲しくて母に「一回だけやらして!」とお願いしました。
すると一発でオメガモンを引き当て大喜びしたのを今でも鮮明に覚えていますし、そのオメガモンは今でも(ゲットした瞬間から)カードファイルに入れて大切保存しています。
テレビゲームの「デジモンワールド」は第2作、3作と続編が発売されましたが、1作目で大好評だった戦闘、育成システムが変わってしまったため1作目のシステムを正統進化させた続編を待ち望んでいました。
そして、満を持して第1作目の正統進化を遂げた「デジモンワールドシリーズ」が発売!
2012年7月19日に「デジモンワールド リ:デジタイズ」、2016年3月17日「デジモンワールド -next 0rder-」が発売しいずれも好評で初代デジモンワールドの人気と底知れぬゲーム性を知らしめました。
そうは言っても初代デジモンワールドがいまだに続編も含めて愛されるのにはやはり理由があります。
これはどれも、続編では達成されていない、もしくは時代的に古臭いと除外された要素かもしれません。
それも含めて紹介していきます。
デジモンファンはこういう育成を待っていた!自分だけの最強デジモンを育成せよ!
デジモン冒頭でも説明しましたが「デジモン」は「たまごっち」の育成システムに加え、戦闘システムを導入したゲームです。
もちろんそれでも充分好評だったのですが、当時育成ゲームといえば「ポケットモンスター」が爆発的な人気を誇っていました。
アニメも放映され当時の少年、少女たちがどれほどポケモンマスターを目指したことか。
本作はポケモントレーナーを目指すように、小さい画面の中だけではなく、「デジモンテイマー」を目指してデジモンたちと旅の中で強くなる。
そんなゲームがやりたいというユーザーの夢を叶える作品です。
主人公はある日公園で友達とデジタルモンスターで遊んでいた。
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やがて夕方になり家に帰ると自分のデジタルモンスターの画面が光出したのです。
その光は主人公を包み何処かに飛ばされてしまいました。
主人公が目を覚ますとそこは見たこともない世界。
しかし、周りの生命体には見覚えがありました。
主人公の周りにはデジモンたちがいたのです!
主人公は「はじまりの街」の長老デジモン「ジジモン」にデジモンワールドへと呼び出されたのです。
それは「デジモンアドベンチャー」のように「選ばれし子供達」という名目ではなく、デジタルモンスターの育成が上手いからという理由だけです。
全国津々浦々、名だたるデジタルモンスターで遊ぶ人の代表として選ばれたんだから「選ばれた子供」ではあるのですが…
本作デジモンワールドは舞台である「ファイル島」に点在する地域を攻略していき、「心」を失ったデジモンたちを「はじまりの街」に呼び戻すことが目的となります。
しかし、デジモンワールドでの育成はデジタルと勝手が違います。
デジモンたちはまるで生きているかのように暮らしているため動物を育てるような繊細さがあります。
そこにデジタルモンスターに本作ならではの魅力が詰まっています。
デジモンの魅力と言えばなんと言っても育成。
携帯ゲーム機のデジモンはたまごっち同様リアルタイムの時間の中で育成を行わなければならない意外とシビアで大変なゲームでした。
しかし、だからこそ生き物を飼うことの大変さ面白さ、愛着などが生まれてきて、寿命が来た時には悲しい思いもします。
本作も時間の概念があり、デジモンには寿命がありますが、テレビゲームということでセーブ機能があるため、自分のペースでデジモンの育成を楽しめるのが良いところです。
また、プレイステーションということで携帯ゲーム機の時とは比べ物にならないほどの美麗グラフィックで描かれたデジモンワールドはまさに全少年の夢の舞台!
デジモンは成長段階があり、「幼年期」から始まり。
「成長期」。
「成熟期」。
「完全体」。
この四段階になります。
後進作品では「究極体」や「アーマー進化」など様々な進化が登場しますが、初代では完全体までです。
この成長要素を「進化」といいデジモン関連の成長、パワーアップ、変身効果なども同義で使用されます。
そしてデジモンと他の育成RPGで大きく違うのは能力の伸ばし方や育て方により別のモンスターに進化します。
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丁寧に育てればデジモンもそれに応えて強く、主人公に従順に育ちます。
凶悪に育てれば強いですが言うことの聞かないデジモンに育ってしまいます。
放っておけば死んでしまうか、能力も低いデジモンに育ちます。
デジモンワールドはゲーム内で24時間経つとデジモンが1歳づつ歳をとっていきます。
そして歳をとるとその段階の能力値に合わせて進化します。
プレイヤーはその24時間の中でいかにしてデジモンの能力を引き出し、体調をコントロールするかが重要になってきます。
また能力意外にもしつけの仕方によってもデジモンの進化の過程に影響を及ぼします。
能力を伸ばすには「トレーニング」、「バトル」、「アイテム」などでデジモンの能力値を伸ばしていきます。
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特に「トレーニング」は本作育成において最重要で様々なトレーニング器具でデジモンを育てていきます。
そしてデジモンの「生理現象」。
デジタルモンスターやたまごっちでもあるようにデジタルとは言え、生命体ですので当然生理現象があります。
トレーニングやバトル、時間が経つとデジモンはお腹をすかします。
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そんな時はお肉や魚、アイテムなどを与えることで空腹感を満たすことができます。
このアイテム群、昔のPC文化である記録媒体「フロッピーディスク」っていうのが懐かしさを掻き立てますね。
しかし、注意しなければならないのは本作は「体重」という概念があり、食べさせすぎたり、食べなさすぎたりすると自分の思ったような育成、進化に達することができないので、注意が必要です。
そして食べ物を食べるとウンチもしたくなります。
そんな時に最寄りのトイレに連れて行くか連れて行かないかで「しつけゲージ」に影響が出てきます。
このウンチが「ブリュリュリュ」って音で意外とリアルなんです。
生きてるって音がする!
ちゃんとトイレで用を足すと〇、途中で我慢できずに野グソをしてしまうとしつけ×。
携帯トイレのアイテムもあるので緊急時はそちらも使用。
ですが、トイレでするのと携帯トイレでするのとではごきげんの変化も違います。
やっぱり個室で全力全開の方が気持ちいいですもんね。
それだけにマップ上のどこにトイレがあるか把握することも重要不可欠。
私もお腹を下しやすいので出かける時、遠出するときはトイレの位置確認や行きなれた場所はトイレマップが脳内で展開されます。
トイレは重要!
さらにはデジモンを「ほめる」、「しかる」ことにより「ごきげんゲージ」にも影響が出てきます。
甘やかしすぎてもいけない、だからといって叱りすぎて愛情もないのもダメです。
そして「ねむる」。
これはデジモンも睡眠を取ることで健康状態を維持しています。
それらを無視すると病気になったり寿命が縮んでしまいます。
「バトル」や「トレーニング」ばかりだとデジモンが疲弊してしまいます。
「育成」、「しつけ」、「食事」、「生活習慣」など正に動物そのものを育てているという大変さ。
なかなか最初から狙ったデジモンに育成するのは難しく、まずは育成手順を覚えることが攻略する上で最も重要になります。
しかし、それにデジモンが応えてくれた時の達成感と高揚感は病みつきになり繰り返し遊んでしまいます。
繰り返し遊べると言えば、いくら大切にデジモンを育てても自然に寿命がきてしまう、いわゆる「老衰」が起こります。
せっかく大切に育てただけに切ないものです。
しかも、上手く育てられなかった、結構大切に育てたつもりなのに上手くいかない…
次上手く育てられる自身がないというデジモンテイマーの諸君。
それでも我々の人間の平均寿命が伸びてきたのには訳がある!
そうそれは後世に遺伝子を残すこと、すなわち子供を残すという「種の保存」です。
本作ではデジモンに寿命がくるとデジモンが最後の力を振り絞って「デジタマ」というタマゴを産みます。
そのデジタマからは死んでしまったデジモンの能力や技を継承する優秀な子孫を残してくれます。
能力や技を引き継いでくれることで今までの育成手順を飛ばしてさらに強化したい部分に集中できるため大切に育てれば育てるほど冒険の助けになり、完全体までの進化も容易になります。
ただし!自分の狙ったデジモンじゃないからといって放置して寿命まで待ち能力だけ引き継がせてプレイしてやろうなんて甘い考えのそこのあなた!
甘い!
もし放置して病気で死んでしまったデジモンのデジタマから産まれてくるデジモンは能力、技を受け継ぐことができません!
ちゃんと育てた人、プレイを頑張った人が報われるゲームシステム。
これがゲーム好きにはたまりませんよ!
デジモンワールドを救う冒険へいざ出発!
ある程度はじまりの街近辺でトレーニングをしデジモンの能力、寿命に余裕ができ、食料、アイテムもたまったら少し遠出をしてみよう!
育成に夢中になってしまうゲームですが、物語の目的は散り散りになってしまったデジモンをはじまりの街に連れ戻すこと。
さらに遠出すると良いこともいっぱいあります。
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例えば今までより良いアイテムが手に入ったり、各土地のデジモンを街に戻すと「街の繁栄度」が上がり、新しい設備ができるなど、育成する上でのメリットが物凄く増えます。
それにせっかく育てたあなたの自慢のデジモンの実力を発揮したいじゃないですか!
ちなみに本作はメモリーカードの読み込みによりデジモン同士の対戦が可能。
デジタルモンスター同様に自分の育てた自慢のデジモン同士を対戦させることができます。
本作はバトル画面も良い!
本作フィールドは主人公やデジモンを遠目から覗くような視点が特徴です。
そしてバトル画面もフィールドにいるデジモンと接触するとそのままバトルが始まります。
これ凄く良く出来ていて、通常のフィールドからそのままバトルステージに遷移することでロード時間もなく、散歩してたら突然バトルみたいなように一瞬の空気感の入れ替わりがバトルの緊張感を生み出します。
またに遠目から覗き込む視点のためバトルやフィールドによって全く違う視点からバトルを楽しむことができます。
人によっては視点が悪くプレイしにくいと思いますが。
そして主人公はというと、デジモンたちに指示を出したり、ピンチの時に回復アイテムを使用したりとセコンドのような役割を担います。
バトル中はデジモンは自動的に行動しますが、大まかな指示を主人公が出すことによってコンピュータが判断し行動します。
この戦闘システムも良く出来ていてプレイヤーの支持のタイミングよっては舐めていると格下にやられることや、上手く指示を出せば格上に勝利することもできます。
指示は基本的なもので「まかせた!」、「技〇~〇」、「がまんだ!」、「はなれろ!」、「ターゲットを変えろ!」、「逃げろ!」があります。
「まかせた!」はまかせた!これはデジモン自身で判断して行動を任せるコマンド。
「技〇~〇」はセットされた技を繰り出すコマンド。技を繰り出すには「MP」を消費して発動します。
「がまんだ!」はデジモンに防御態勢を取らせます。ピンチの時にがまんしアイテムで回復させるための時間稼ぎなどができます。
「はなれろ!」は対戦相手と距離を取るコマンド。対戦相手が近接攻撃を届かなくさせたり、遠距離攻撃をワザとさせMPを消費させたりなどが行えます。
「ターゲットを変えろ!」は複数敵がいる場合に攻撃対象を変更することができます。
「逃げろ!」は戦闘を逃げることができます。
この他にも指示コマンドはありますが、それを指示できるのは「かしこさ」の能力が高いデジモンに限られます。
戦術の幅を広げるために「かしこさ」をあげるか、「まかせた!」でも戦える圧倒的な火力を身につけるか。
これらによって主人公(プレイヤー)の個性を出した自分だけの攻略を見出すことができます。
そして、あらゆる困難を乗り越えた先には様々なデジモンを仲間にしたり、交流することができます。
自然の驚異にさらされたり。
トラブルに巻き込まれたり。
仲直りしたりとデジモンの数だけ物語があり、育てて街をバトル、デジモンを助けて問題解決、街は繁栄。
街の繁栄により自分のデジモンの育成環境が良くなる。
このループが上手くユーザにゲームを進める楽しさに誘導しているのが凄い作品です。
綺麗だけがグラフィックの良さじゃない!初代デジモンワールドはPSグラフィックが丁度良い!
デジモンワールドの魅力をお伝えしましたが、私がデジモンとして名作と豪語する理由の一番がこのグラフィックかもしれません。
グラフィックと言っても現代のHD画質が主流でCG技術も圧倒的に違うよ。
ましてやSD画質の時代のグラフィックなんてどうあっても現代に勝てないよと思うかもしれません。
ですが、この作品で改めて思い知らされます。
グラフィックは見せ方だと。
デジモンの何が魅力か?
私の独断と偏見でお答えするならデザインですね。
デジモンのデザインや絵って「デジタル」って言う割にはデジタル感が少ないと思いませんか?
上記の画像は「メタルマメモン」は鉄の塊です。
本作やデジモンアドベンチャーでもメインのデジモンであり「アグモン」も恐竜ですよね?
そうデジモンは子供が好きな恐竜やお化け、周りの歯車やロウソク。
そう身の回りの者に命を宿したものがデジモンなのです。
そのため物質が持つ陰影と重厚感が持つリアル。
それこそがデジモン好きが未だに本作を求める理由だと思います。
確かに最新作のデジモンワールドシリーズの方が断然綺麗ですし、見栄えもします。
ゲームもとても面白く、システムもUIも改善されており楽しいです。
ですが物質の重みがなく、つやつやしたグラフィックなので少し私たち初代世代には物足りなさを感じてしまうのです。
あのメタルグレイモンのガシャンガシャンという地響きが聞こえてきそうなグラフィック。
それがなかなか伝わりづらくなってきています。
さらにプレイステーションのグラフィックのザラザラした感じ、テレビの砂嵐の表現。
今のテレビでは起こりえない現象でデジタルの未来を予想した泥臭くも懐かしいグラフィック。
そして本作は背景グラフィックも素晴らしく、主人公主観ではないためフィールドが物凄く壮大に広く感じます。
地平線の向こう側にまだ見えぬ世界への旅の続きを感じさせる。
遊び心溢れる摩訶不思議な世界観。
そしてアングルも衝撃的だったのが原始的恐竜時代を思わせる白骨のアーチ。
これは本当に衝撃的でした。
現代ハードのグラフィックでも普通の綺麗さの先ではたどり着けない。
グラフィックという確かな可能性の原点を見た気がします。
これこそがデジモンワールドの魅力です。
まとめ
携帯ゲーム機版「デジタルモンスター」で人気を博したシステムを上手に家庭用ゲーム機に落とし込み、携帯ゲーム機版では味わえなかった豊かなグラフィックと生き生きとした世界観。
今なお愛され続けるのは何もデジモンだからだけじゃない。
育成RPGとしても別のキャラクターやモンスターに差し替えて発売してもいいんじゃないかと思う完成度の高いバトル、育成システムがあるからだと思います。
この育成システム、現代の日本人に置き換えると大切に育てれば育てるほどいかに当たり前の健康な生活や生き方を日本人が遅れていないかまざまざと知らしめられます。
昔、近所の犬飼いのおじさんが言っていました。
「犬の方が俺よりいい生活してる」。
もちろんそのおじさんは犬に愛情があったからそうしてきたのでしょう。
でもそうじゃないなら…ゾッとしますよね。
本作はそんな愛情を注ぎ愛着がわき、愛情を憂い、誕生に喜び、成長に尊ぶ。
そんな大切なものが詰まった名作と言って良いでしょう。
アーカイブスが無いのが残念ですね。
バグも多いからでしょうかバグ技もはやりましたね。
本来進化できないデジモンに進化とか「便利くん」とか。
育成ゲーム好きなら是非プレイしておきたい作品です。
それでは次もね~