まるで蝶のようにヒラヒラと軽やかなフットワークとその軽やかな動きから急に蜂のように鋭く刺すようなパンチ。
「蝶のように舞い、蜂のように刺す」という伝説のボクサー「モハメドアリ」を形容した言葉があります。
その鋭さもさることながら相手が気づかないうちにマットに沈んでいたというほどの衝撃。
今回紹介するレトロゲームはそんな首領蜂のような鋭さと衝撃の高難易度が待ち受ける高速弾丸シューティングゲームです。
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・怒首領蜂 大往生
ジャンルシューティングゲーム プレイ人数1~2人・AMI(AC版)
・アリカ(PS2版)
・5pb.(Xbox360版)
・ケイブ(iPhone版)
・ケイブ(AC版、iPhone版)
・アリカ(PS2版)
・5pb.(Xbox360版)
・2002年(AC版)
・2003年4月10日(PS2版)
・2009年2月19日(Xbox360版)
・2012年(iPhone版)
・AC(アーケード)
・PlayStation2(プレイステーション2)
・Xbox360(エクスボックス360)
・iPhone(アイフォーン)※iOS11以降は動作不可
・無
・プレイヤーを人間扱いしていない高難易度モード「デスレーベル」。
・弾幕+高速弾丸が悪魔的にプレイヤーの逃げ道を奪う。
ストーリー
1000年昔……。
先代の文明国家は兵器に戦略意思を持った機械(マシン)兵団を創り出し、無人の世界大戦をおこなっていた。
やがて誰もマシン兵団の戦闘を抑えられなくなるほど発展し、全てを失った人類はその過ちを繰り返さないようマシン兵団を月に封印したのだった。
そして1000年の時を過ぎ、人類の文明が平和に向けて使われる時代が訪れていた。
この時代はロボットの技術が発展し、人間に出来ないような難解な作業は、すべてロボットに任せる事ができる程になっていた。
そんな時、月では異常な動きが報告されていた。封印していたマシン兵団が起動しているというのだ。
何者かによって封印が解かされたのか……。
それともコンピュータの意思か……。
国連軍は、目覚めたマシン兵団が地球を目指して戦力を整えつつある情報を掴むと、月の首都である月華僑(ルナポリス)にむけて先制攻撃を仕掛けていった。
その作戦に参加した戦闘員の中に、戦闘機の「強化」兵器を司る専用ナビゲータ「エレメントドール」がいた。
エレメントドールとは、戦闘機に接続・装填することで戦闘機全ての兵器プログラムを管理し、武装の強化を図る戦闘用ロボットだ。
この「エレメントドール」の出現は、戦闘機の強化を容易に行うことを可能にし、またそのタイプによって、強化する兵器を変えることができるなど実戦において欠かせない存在になりつつあった。
ここにひとつの矛盾が発生していた。
人類は、機械対機械の戦争の過ちをもう一度繰り返そうとしていたのだった……。
「怒首領蜂 大往生」説明書より
人間超えて人間をやめて神に近づいたもののみクリア可能な高難易度「デスレーベル」
大往生ということで完結編ではありますが後に「怒首領蜂 大復活」や「怒首領蜂 最大往生」などシリーズは続いています。
しかし、一度は完結をうたった本作は完結に相応しく、人の人格を破壊するような衝撃を持って生まれました。
その一番の要因がPS2版で追加された高難易度モード「デスレーベル」の存在です。
このモードは端的に言えば「ボスラッシュ」である。
次々と現れる各ステージのボスを撃破していきます。
1週目はいいんです…問題は2週目なんですよ…
2週目、本作が我々に課す地獄のような条件それは…
・残機没収
・面クリア時のエクステンド無し
・ステージ開始時ハイパーアイテム供給停止
・ボムの使用制限
・2周目の最後の真のラスボス「真・緋蜂-改」の弾数が2倍
ただでさえ高速弾丸が売りの本作でその弾数が2倍って、完全に殺しにきている…いやゲームだからね難易度という意味では正しい…
正に本作のキャッチコピー「死ぬがよい」にピッタリというか難しく作ったらこれしか当てはまらなかった「てへぺろ!」みたいな…
ですが難しすぎる…どの位難しいかこういったら分かりますかね。
2018年現在までで確認された世界でクリアしたプレイヤーはなんと…
4人!
これでおわかりいただけただろうか。初のクリア報告も2010年9月18日で発売されて実に7年5ヶ月での快挙であった。
その報告を受けて2人目以降続いたのが7年でたったの3人。
その3人も初クリアが出て人間でもクリアできることを証明されければ挑戦したでしょうか。
そういう意味で先駆者はやはり偉大です。
動画サイトに投稿されたクリア動画を見るたびに実は人間の手の奥は最先端のロボットもしくは人外でもいるのではないかと思ってしまいます。
しかし、大手ゲーム情報サイトの4Gamerのインタビューに応じた初クリアの偉業を成し遂げた「MON(もん)」氏の話しを見ている内に申し訳ないと思うぐらい本作を研究対策を行い、情熱を傾けていたこと、挫折からの再挑戦とナンバリングにもある通りMON氏のデスレーベル初クリアをもって本作は本当の意味で「大往生」したと言えるでしょう。
成仏に7年半かかった感じですね。
じゃあ本作のどこに良いところがあるの?
そうお思いの方、お気持ちお察しします。
そうですよね本作を「デスレーベル」で語るのはあまりにもプレイヤーを見放しすぎています。
しかし、いつの時代も剛速球を見極めるのは至難の業。
前作「怒首領蜂」、前々作の「首領蜂」で特徴的だった「物凄い弾幕を微妙な当たり判定で回避する」というプレイスタイル継承しつつ「弾速を上げた」。
…やっぱりどこ語っても鬼にしか見えねえよ~
本作のシューティングゲーム初心者には絶対オススメしません!
もうレベル的にには「怒首領蜂が嫌いになってもシューティングゲームのことは嫌いにならないでください!」と切実な思いが増すばかりだ。
それでも何か人生の虚しさに似たものをシューティングゲームに感じた玄人の諸君らには教えていいかもしれない…この地獄を…
攻略の秘訣は集中すること後アーケードコントローラー使用ですかねぇ
自機は移動速度が速いが攻撃範囲は前方のみの「Type-A」と移動速度は遅いが攻撃範囲が広い「Type-B」のどちらかを選択します。
自機選択後に選択によって強化タイプが変わる本作では「エレメントドール」と言われるキャラクターを選択します。
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強化タイプは「ショーティア:DFSD-010」が「ショット強化型」で「レイニャン:DFSD-014」が「レーザー強化型」。
「エクスイ:FSD-002」が「エキスパート強化型」でボムの数は2個まで制限される代わりにショットとレーザー両方の強化型。
このロボットのような感情であり人外でないと本作はクリアできないよという開発者側のメッセージか挑発か。
彼女たちは物語が進むにつれて人間らしい感情を芽生えてくるがプレイヤーは逆転して無の境地にいくか人間やめるか。
終盤にはキャラクターとプレイヤーの感情が入れ替わっていることを想像できてしまうある意味仮想現実リンクの目指すところであろうか。
1週目のみであればパターンを覚えて集中!でトライアンドエラーの繰り返しなのですが2週目はそうはいきません。
より高い集中力+より精密な自機操作を行うために「アーケードコントローラー推奨」します。
なぜならより濃い弾幕とに相も変わらない高速弾丸がプレイヤーを襲う。
より当たり判定の厳しい状況になる。
本作でシューティングゲームにおけるボムの役割を担う「ハイパー」も高難易度の前では制限がかかり見る影もなし。
頼れるのは自分の腕だけ!
ステージ1
ステージ2
ステージ3
ステージ4
ステージ5
「デスレーベルモード」では1週目「緋蜂 改」、2週目「真・緋蜂 改」となる。
ちなみに私は1週が限界でした…いいや限界と決めつけてはいけないのですが1週クリアした後疲れすぎて16時間ほどぶっ通しで寝ました。
週末で良かった…週末の疲れに心地良いプラスアルファの疲れ…やっぱりゲームで疲れるって幸せ~
しかし、流石にやり過ぎたと感じたのか後に遊びやすさを改善した「怒首領蜂 大往生 ブラックレーベル」がアーケードでリリースされました。
毎回残念なのが「鋳薔薇」などもブラックレーベル版で改善されるものの家庭用として発売されないのが毎度残念。
ユーザーの手元に残るのはいつも凶悪版というもはや御愛嬌レベルですね。
「怒首領蜂 大往生」についてはXbox360版として「怒首領蜂 大往生 ブラックレーベルEXTRA」がリリースされているのがせめてもの救い?
まとめ
まるでクリアさせる気がない高難易度モードを引っさげ大往生という勝ち逃げのような完結編でしたが何とか選ばれし4人によって何とか食い止められました。
恐らくこのやり方はシューティングゲーム会社としてのケイブの実績があったから成り立った、または情熱を注いでクリアに挑戦する人がいるように思います。
普通の会社がやったらただの難易度理不尽のクソゲーとしか扱われないでしょう。
そんな理不尽とも言われる難易度を愛で返せるのが信頼と実績の○○と言われる要因でしょう。
ゲームとは不思議で長いファンがいるもしくは一人でもそのゲームにお熱な方がいると何十年経っても新たな裏技や攻略方法が発掘されます。
開発者ですら忘れていたものをタイムカプセルのように意図せぬユーザーによって発見されるというのは面白く最近のレトロゲーム再ブームに乗っかるようにその手の話しは続々と報告が上がっています。
今発売されているゲームも後々そういった愛で何十年もの時を越えて再発掘される日がくるでしょう。
そんな時この本作を発掘した人々がどんな反応をするんでしょうか?
それでは次もね~