おもちゃたちが動き出し大冒険。
今では当たり前ですが、その設定と小さいながらも大きなスケールのように演出して人気を博した「トイストーリー」。
子供たちが一度は思い描くおもちゃが動いて一緒に遊べたら。
おもちゃたちも思い描いていたかもしれない。人間の力を借りずに自由に動けたら。
ものにも魂が宿るという世界観を大いに盛り上げ、またミニチュア世界ならではの演出でワクワク感と苦労を表現している名作です。
今回紹介するレトロゲームがそんなおもちゃたちが反逆者となり人間VSおもちゃの内輪もめを描いたちょっと不思議な小さな物語。
クリックすると拡大します
・突撃!てけてけ!!トイ・レンジャー(Toy Commander)
ジャンルアクションゲーム プレイ人数1~4人・セガ
・NoCliche
・2000年1月6日
・Dreamcast(ドリームキャスト)
・無
・ミニチュアならではの家財道具や日用品を用いた個性的なステージの数々。
・操作できるおもちゃも陸上、空中と様々に存在。
・レースやバトルのアクションに加え、おもちゃの兵隊を上手く配置して相手を攻撃するなど戦略要素もある。
ストーリー
「ガシー、オマエのヒドイ扱いには、もう、うんざりだ!我々オモチャは、暴動を起こす!「トイ・レンジャー」の称号は、ワタシ、クマのヒューゴリンがモラッタ。
我々と対決して、オマエが勝つことができれば、「トイ・レンジャー」の称号は返してあげよう…」
さあ、ガシー!
この挑戦を受けて立て!
オモチャ箱から取り出した乗り物に乗って、反逆したオモチャたちに立ち向かえ!
「突撃!てけてけ!!トイ・レンジャー」説明書より
なめてかかると痛い目見るぞ!おもちゃたちの逆襲
本作は全8ステージで構成されています。
1ステージごとに複数のミッションが存在し、それぞれ特色の違った面白いミッションです。
現代でドローンがやっている遠隔で空中からお手伝いをするような感覚が味わえる子供が好きそうなゲームです。
しかし、乗り物の精密操作や人間の世界というおもちゃにとって巨大な世界の「家のもの」はおもちゃを操ろうとしている人間にはある意味別視点。
別世界と言ってもいい視点であり攻略はなかなか容易ではありません。
その点は大人のユーザーも楽しめると思います。
正直このぐらいの難易度があるとゲームやってるって感じしますしね。
プレイヤーキャラとなる「ガシー」はおもちゃを雑な扱いをしているためおもちゃの反乱を受けます。
このガシー、確かにデザインとして何だかひっぱたきたくなる小生意気な絶妙な顔をしているんですよね。
おもちゃの味方をしたくもなりますが、おもちゃも一つ間違えば大災害ものの攻撃を仕掛けてきます。
例えばミッションでおもちゃたちが火災を起こし、それを飛行機で水場から水を補充して消化する。
まるで山火事を消すようなミッションがあるのですが、考えたら結構怖い反乱ですよね。
カジーが進撃の巨人のようにバケツで水をかけたり身体で叩きのめせばいいのですが、そうはいかない。
なぜなら「トイ・レンジャー」の称号を取り戻すためにはトイ(おもちゃ)で立ち向かわなければなりません。
この辺はおもちゃたちが子供心を上手くゆすって自分たちと同じ土俵に上げたようです。
敵もおもちゃ、しかし操作する味方もおもちゃという不思議な関係。
つまりガシーと反乱の首謀者クマの「ヒューゴリン」どちらがおもちゃを使いこなせるか、支配する権利があるかの勝負ということです。
ミッションは主に「探索」、「救出」、「護衛」、「レース」、「攻撃」などがあります。
「探索」はスイッチを探し、作動させるミッション。
「救出」は輸送機、輸送車を使い、キャラクターやものを目的地に運びます。
運ぶだけの乗り物なので相手の攻撃から身を守る方法は自分の操縦テクニックにかかっています。
おもちゃの兵隊アーミーマンなので銃口の方向が決まっているため配置が意外と難しいです。
設置場所を輸送車の場所の微調整していると集中砲火を食らうこともしばしば…
「護衛」は救出と違い輸送する味方の乗り物を敵の攻撃から反撃し対抗します。
「レース」は乗り物でレースを行います。
せっかくの乗り物を戦闘だけではなくレースゲームとしても昇華しているのがいいですね。
ステージが個性的なのでコースを走っているとおもちゃの世界を駆け巡る感覚や背景のこだわりが見えてきてワクワクします。
「攻撃」は攻撃目標の殲滅を行います。
攻撃手段が鉛筆ミサイルなど表現をとことんトイ(おもちゃ)の世界観に近づけているこだわりを感じます。
ポケットの中の戦争は小さいながらも手に汗握る戦闘ばかりで油断するとすぐにやられてしまいます。
私も結構失敗して、ある意味繰り返し遊べて覚えながら試行錯誤する楽しさがあります。
アクション性の強いゲームですが、ミニチュア世界という特殊状況、いかに効率的に、輸送した兵士をどこに配置すればいいか、そしてそのタイミングなど意外と戦略性もあり、ただ操縦テクニックがあるだけでは攻略できないのが本作の魅力でもあります。
ミッション攻略のヒントもなく自分で操作しミニチュア世界を探索しながら試行錯誤します。
まさに子供の「ひとりでできるかな」の如くです。
兵器も連射できる「マシンガン」。
ターゲットの追跡可能な「ミサイル」
当てるのは難しいですがターゲットに当たると強力なダメージを与える「爆撃弾」。
そして地上だと「地雷」、空中だと「空中機雷」となり罠を張ることもできます。
実は本作「デス・マッチ」、「ネコとネズミ」、「旗をとれ!」の複数人プレイに対応した対戦モードもあります。
「デス・マッチ」は相手の乗り物を破壊モード
「ネコとネズミ」は鬼ごっこ要素がある対戦モード。トムとジェリーですね。
「旗をとれ!」は自陣と相手陣地の旗を奪い合うモードです。
ゲームの対戦要素ってそのゲームが売れたりネット環境が整ってる前提だったりするので、本作の知名度、さらにはあまりネット対戦が普及しなかったドリームキャストなら尚更こういう機会も減ってもったいないなと感じるゲームも多いですよね。
こう思うたびに少年時代のようにしょっちゅうゲームをやりに集まる友達って貴重だし、少年時代は貴重だなとノスタルジックにひたっています。
まとめ
原作が洋ゲーで原題は「Toy Commander」。
おそらくトイコマンダーという響きが少年主人公っぽくなかったからでしょう。
でも「レンジャー」という言葉をつけてトイレンジャーは子供っぽくていいですね。
ただ、「てけてけ」はちょっと子供っぽすぎて逆に大人も遊んで歯応えがあるのにタイトルがもったいないな。
ゲームはタイトルも大切ですね。
中身は結構硬派なのにそれが伝わらない可能性があるなんて。
外身で判断してから中身を判断するのは広告などでも同じですからね。
こうして中身をみると広大な舞台を家内で再現し、その高低差を日用品で設計し、おもちゃで戦うというアイデアは見た目も面白く、普段見慣れたものが巨大に見え迫ってくる臨場感。
表現もポップなため万人にもおすすめできる。
こういった再評価も多いレトロゲーム業界を盛り上げるべくアーカイブス化の大波が来てほしいですね。
eスポーツが浸透してきている近年でレトロゲーム大会なんかも盛んになれば、競技種目のゲームをアーカイブス配信してユーザーは大会までの期間ソフトを持ってなくてもレトロゲームをやり込む環境が手に入る。
またやり込むことでそのゲームの良さがそのユーザーから広がりアーカイブス市場も盛り上がる。
そんな時代がくるのではないか。
そのためにこれからも隠れてしまった名作を発掘して紹介してプレイしたことがある人がドンドン増えるといいな。
それでは次もね~