【3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!】先生と生徒の関係は何かを考察させられるドラマゲーム作品

暮れなずむ町の片隅で。

光と影の中、善と悪が。

去り行くあなたへ絡んできて。

送る言葉は兄ちゃん金かしてくんねえか?

と世の身体と心の闇を打ち払う言葉の魔術師と熱血カウンセラー。

今回紹介するレトロゲームは有名学園ドラマ原作の名物先生が受け持つクラスをプレイヤーが受け持ち体験できる学園ヒューマンアドベンチャーゲームです。

タイトル販売元開発元発売日フォーマットアーカイブス

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・3年B組金八先生 完全版 伝説の教壇に立て!

ジャンルアドベンチャーゲーム

プレイ人数1人

・チュンソフト

・チュンソフト

・2004年6月24日

・2005年7月28日(完全版)

・PlayStation2(プレイステーション2)

・無

本作のセールスポイント

・ドラマ性を重視したフルボイス&ノンテキストで紡がれる学園ドラマ式のアドベンチャーゲーム。

・ゲーム内アニメーション制作がジブリのスタッフが手掛けておりドラマ同様、心理描写のグラフィックが良好。

・カードシステムにより、選択肢、攻略アイテム、フラグを立てるためのアイテムとして一本化された遊びやすいシステム。

ストーリー

急遽入院することになったサクラ中学の名物教師、坂本金八先生。

ピンチヒッターとして指名されたのはなんと若き塾講師のあなたでした。

恩師の推薦とあっては断われず、あなたは早速サクラ中学赴任してきます。

けれどもそこで待っていたのは、問題児だらけのクラス、3年B組。

さあ、クセ者ぞろいの生徒達と1年を過ごし、無事卒業式を迎えられるのでしょうか?

「3年B組金八先生 完全版 伝説の教壇に立て!」説明書より

三年B組金八先生とは

三年B組金八先生」とは1979年から2011年までの32年間、TBS系でに制作・放送された日本の学園ドラマです。

主人公は桜中学の国語教師である「武田鉄矢」演じる「坂本金八」が3年B組の教師と生徒という関係で生徒と向き合うヒューマンドラマ。

中学生の3年という「受験」、「思春期」、「反抗期」など進路や自分の思い描く理想と現実のギャップに悩む生徒に体当たりでぶつかる熱血教師の物語。

金八先生は時には厳しく鬼のように、時には優しく仏の様に、他人への干渉も恐れない大人にとっては厄介だが、子供の最大の味方でもある。

熱血教師の反面、国語教師という立場から言葉の意味や大切さを語る場面も多く例えば「人という字は人と人とが支え合っている字」と説いている。

金八先生で登場する生徒(キャスト)の中にはそのまま芸能に進んだり、別の人生を送る者と多種多様で卒業式のシーンはドラマの中のキャラクターの卒業式というよりその役者自身の卒業式として、視聴者への卒業式として多くの人の共感と涙を誘った。

ビクターエンタテインメント 2011年3月25日

原作ドラマの特性を活かしたノンテキストアドベンチャー

本作アドベンチャー形式のヒューマンアドベンチャーです

主人公であり、なぜか塾講師であるプレイヤーが入院中で休職中の「坂本金八」に代わり、「サクラ中学」の臨時教師として3年B組に赴任してくるところからドラマは始まります。

金八先生は主人公の恩師という設定のため、否応でも熱血教師になる運命のような設定ですね。

金八先生もあれだけの仕事っぷりと熱血っぷりだから病気やケガぐらいするだろうと入院理由は納得だが、やはり金八先生が出演しない3年B組は悪く言えば金八先生の名前を借りた学園ドラマアドベンチャーと言わざるを得ないでしょう。

しかし、そこは金八先生の立場を体験するという名目が見事に金八先生ゲームとして成立させています。

金八先生は病院に居ながらもプレイヤーから学校の近況報告に応じて名言という名のアドバイスをくれます。

しかもフルボイスで聴けるため物語に大きく関わりはないものの、ドラマ以外で金八先生の名言を生で聞いている感覚がたまりませんね!

さて、プレイヤーが受け持つクラスですが、やはりと言ったら自虐的ですが、くせ者と問題児ぞろいのクラス。

ドラマ同様3年B組は問題児のバーゲンセールです。

なんでしょうね…問題児だらけだから新任の先生がくると警戒心強めでざわつく感じ。

アウェー感とノーウェルカム感…

3年B組の生徒たちサクラ中学の先生たち父兄や近隣の関係者

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しかも生徒を同様に学校の先生もくせ者揃い、問題児の親もこれまた問題があるという、本当に人間関係が大変ですよね先生という職業は…

やれやれ…そうは言っても恩師の頼みだし、引き受けてしまった以上やりますか!

3年B組の生徒卒業までの期間は一年間。

卒業までに生徒の悩みを解決し導こう!

生徒の才能開花が教師の使命だ!人にやさしく、自分にきびしく生徒を導け!

本作の特徴でもありドラマ原作ということもあって日常ドラマを感じる演出がところどころに散りばめられています。

特に立ち絵や度々挿入されるアニメーションパートは物語を彩る上で重要な美術演出となっています。

本作は「学校パート」と「放課後パート」を繰り返しドラマ形式で展開されていきます。

話数ごとに展開される物語には導入部分としてドラマ式にアニメーションがあります。

キャラクターデザインは「猫の恩返し」、「ひるね姫〜知らないワタシの物語〜」のキャラクターデザインを担当した「森川 聡子」はじめ、ジブリスタッフが担当しているという豪華仕様!

世界観設定も原作ファンにも、少し見たことがある方でも分かるような小ネタが散りばめられています。

その筆頭がドラマでもお馴染み「大森巡査」。

金八先生とは犬猿の仲のように見えてお互い本音がぶつけ合える愛すべき町のおまわりさんです。

本作でも警察官というだけあって情報網は広く貴重な情報源でもあります。

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本編でも金八先生とのやり取りと金八先生が大森巡査に返すお馴染みのセリフである「このバカチンが~!」も収録されています。

そして3年B組に限りませんがなんと言っても金八先生の教育への情熱に対して3年B組の「副担任」はどこか冷めています。

本作の3年B組の副担任で「広沢りん子」先生もその一人です。

しかし、プレイヤーと関わるうちに心境の変化や一緒に成長していく姿はドラマの放送時間より長くなっていくのでキャラクターの愛着度も上がり、初々しく微笑ましくもあります。

そして主人公の理解者ともなりうる人物なので物語のキーマンとしても重要な人物です。

 

そしてオリジナルながらも実際の人物を出演させたような登場人物たち。

金八先生というリアルで存在した俳優とリアリティに定評の高いジブリのスタッフもアニメーションやキャラクターデザインに関わっているということで、より一層のリアル感とゲームながらも身近で親しみやすい世界観となっています。

アニメーションはヌルヌル動きキャラクターが生き生きと青春と人間関係や心情を表現しています。

しかもノベルゲーム、アドベンチャーゲームとしては異例のフルボイスかつ「ノンテキスト方式」なのです。

このことによりプレイヤーはよりキャラクターに集中して表情をうかがいながらプレイでき、登場人物と目線を合わせながら話しができるため教育という在り方と、人間関係を構築するという上で重要なことを演出で表現しています。

これはアニメーションもしっかりしていないとできないことなので、システム面を削る事でのデメリットを上手くメリットに変えている見事な手法です。

学校パート」では教師、生徒ともに規律を守りながら両者の関係との間で交流を深めるパートとなります。

まずは学校での噂、在学中の生徒の悩みを様々な視点や人の話しから攻略の糸口を探し出していきます。

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さらに学校では生徒だけではなく同僚である先生方にもとの関係にも悩まされることがあり、大人も厄介だなと感じる現実感も醍醐味。

ドラマ同様、嫌味な先生や本当は良い人なのに教育面では厳格でおかたい先生も物語を盛り上げる上でやっぱバランスが良いですね。

肯定してくれる人物と、否定的な人物とが入り混じることで人間ドラマの深みや面白さが上手く調理されています。

放課後パート」は放課後のプライベートということもあり生徒がリラックスしている状態なので学校の規律外のラフな生徒との交流を深めることができます。

裏を返せば無法地帯なので、放課後に事件が発生することや学校では表面化しなかった家庭の問題や生徒の素の顔、裏の顔が見えてきます。

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普段は明るい生徒が裏ではこんなに悩んでいることも!?

生徒の悩みをいち早く見つけ、情報を元に解決への糸口へ導く、それが本作の教師の務めです。

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教師は生徒の背中を押して手助けするだけ、根本的な解決は本人の頑張り次第。

味方がそばにいるだけでも今まで吐きだせなかった思いも打ち明け、すれ違った心を繋げることができます。

 

本作をいろどり、攻略の鍵となる3つのシステム「カードシステム」、「才能開花システム」、「ザッピングシステム」があります。

カードシステム」はノベルゲームでは選択肢、アドベンチャーゲームであれば攻略の鍵、推理ゲームでは証拠品を担うシステム。

更には才能開花システムの生徒の才能を伸ばす

才能開花システム」はその名の通り生徒の才能を開花させるシステム。

才能開花させた生徒は卒業式で「仰げば尊し」を歌ってくれます。

でも才能開花させた生徒が少ないとその生徒の一人パートと考えると地獄ですね…

なるべくみんなで合唱できるように、多くの生徒の才能開花を行いましょう。

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ザッピングシステム」は後のチュンソフトの「街 〜運命の交差点〜」で採用しているシステムです。

このシステムはドラマ性を引き出すためには大変重要なシステムです。

ノベルゲームというとほとんどが主人公目線で進行、別視点に変わってもシナリオをそれほど長くはないのですが「ザッピングシステム」は少し違います。

主人公が動いている以上、周りも同時に動いている。

主人公が動いているけど、他は主人工を待つように止まってくれているのもゲームの良さであるのですが、やはりリアルタイム性には欠けます。

そこで主人公が生徒に与えた影響が結果的に別の生徒の悩みにも影響を与えているというシステムが「ザッピングシステム」です。

人はそれぞれ細かな因果関係で繋がっています。

例えば、生徒が先生の指導で改心したことで、結果的に仲違いしていた両親とも仲直りできたなどそういったことがゲーム内で起きるということです。

これは面白い反面シナリオに矛盾があると成立しないので、シナリオに自信がないと導入できないシステムですね。

裏を返せば本作のシナリオをそれだけ満足度の高いシナリオであることが伺えます。

なんたって本作はユーザー満足度96%という脅威の数字を叩きだした作品でもあります。

 

本作はアニメーションだけではなくやり込めばやり込むほど心の明暗が上手いように感じます。

シナリオもそうですが美術が素晴らしく、人間の心情の変化を大胆に表しています。

この明るい雰囲気に対して一転…

心の闇の深さを表現するため背景美術が現実美と没入感のメリハリ、特に闇を際立たせる光の表現がより生徒の悩みを映し出していて世界観に引き込まれました。

本当にこんな悩みを抱えた生徒を救えるのか。

プレイヤーとしての悩みがよりゲームの楽しさのスパイスとして香りや味を引き立たせている作品です。

完全版ではボツシナリオが追加要素として収録!その内容は…

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完全版には最初の製品版ではボツとなった2つのシナリオを追加収録。

第5話の「社会科教師の異常な愛情」。

第3 1/2話の「人にやさしく」が収録されています。

ネタバレは避けますが第5話は「生徒と教師の境界線を超えようとした話し」、第3 1/2話は「いじめ話し」となっています。

本当に収録してくれてありがとうございます。

一度ボツになった感じは世間体と配慮だと思うが、一番背けてはいけないが背けてしまっている問題を取り扱ってくれたと思います。

この問題から目を背けるということをせず収録まで踏み切ったチュンソフトに拍手!

確かにちょっとねじ曲がったテーマではありますが、近年では事件発生後に問題が発覚し、発生前に問題定義をしてない問題なので凄く考えさせられるシナリオです。

一度ボツとなっているため物語との矛盾点は多少ありますが、「もしもの選択肢の世界」というゲームならでは、アドベンチャーゲームの醍醐味なのでこれはこれでありです!

このシナリオのために完全版を購入することをオススメします!

まとめ

本作は金八先生のように生徒に直接自分の言葉で訴えることはできません。

しかし本作は選択肢、カードシステム、才能開花システムによってプレイヤーにも生徒たちを導く力を与えてくれます。

モンスターペアレンツや過剰なパワハラへの反応が今の教育業界を委縮させ本当に困った生徒に声をかける関わること事態が教師にとっても危険になっているのが現状です。

それは悪い奴でも警察や親以外は罰することは犯罪となってしまうためです。

教師は教育をし道徳を教えて思春期の暴走を「予防」することしかできません。

そのため義務教育では言葉が理解できるように国語、そして道徳を身につけることが最も重要だと考えられます。

小・中学校でそれが行えないと周りに回って高校生の教師が被害にあうことになります。

なのに高校の先生は息子、娘をちゃんと教育してくれない発言はおかしい。

だって日本語は理解できない道徳心はない、だから教師の責も耳に入らない理解できない、周りの人にも迷惑をかける。

優しくなれとは言いません。

悪い人にも優しくしても意味がありません。

思いやり」を持ちましょう。

思いやりは良い人や困っている人には優しく、悪い人には厳しく。

そうあるべきだと思います。

長くなりましたが「3年B組金八先生」からは思いやりを持って考えさせられる、感じられるのではないでしょうか。

自分が教師の疑似体験でき、道徳心も養えるドラマティックゲームです。

正にメイクドラマ!

それでは次もね~

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